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ここに来て何日経ったかは定かでないが、一つ変化が起きた。
「時間だ、出ろ」
ある時間になると扉が開いて、別室に移動させられる。もちろん拘束具は付けたままだし、移動の付き添いの看守は何を言っても返事をしない。依然、私が嫌われてるのは確かだった。
200mほど歩くと止まれと言われる。そして、私の独房よりはこじんまりとした部屋に通される。中にはここ数日で見慣れてしまった人が居た。
ひとつテーブルを挟んで向かい合って座る。……やっぱり、この人の顔はどこかで見た事がある。何となく知っている顔なのに、と思い出そうとしていると向かい側の男が口を開いた。
「何故お前はここに来た」
ここに来ると最初にされる質問。これだけは決まっていた。そして私の返答も、同じく決まっている。
『みんなから見た私が悪者だからですよ』
この答えに特に言及する事なく、看守は部屋の壁をぼんやり眺める。
今日は私からも話しかけてみようか。
『これは職権濫用と言うのでは？』
「……そうだな」
案外あっさり肯定されて少し面白くない。
どうやこの男はここの責任者らしく、最初に私をあの部屋へ収監したのも彼だった。妙な事に、毎度毎度この部屋で脈絡も取り留めもない話をする。それが不思議でしょうがないが、生憎暇すぎたのと、少しでも沈んだ気分を晴らせるならと私も素直に足を運んでいる。
「雄英高校は……楽しかったか」
『……まあ、それなりに』
「そうか。……何故、ずっと個性を隠してきた」
『さぁ……隠したのは私ではなく私の父だった者なんですが』
「父親が嫌いか」
『死んで清々しましたね』
今更嘘を言ってもしょうがないと、私の口は事実を述べた。私の言葉が気に食わなかったのか、看守は糸目を更に細めて私を睨んだ。
あ、思い出した。
『士傑高校の……』
「！」
『……あぁ、父親か』
確か仮免試験では一次で落ちてた人だ。講習にも居たし、……言われてみれば確かに似てる。目が特に。
『父親はタルタロス高官、息子はヒーロー候補生ですか……』
「……何が言いたい」
『いや……まぁ、少し羨ましいと思っただけです』
誇れる親が居て、誇れる子が居て、厳しいけど良い家庭なんだろうなぁ。いいな。
『普通の暮らし……ね。死ぬまでに一回くらいやってみたかったんですけど』
そう、これも取り留めのない話だ。
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すみた先生(プロフ) - 月夜さん» ありがとうございます！大変励みになります！！急いで書きますので今しばらくお待ちを！ (2021年10月13日 22時) (
レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
月夜 - とても続きが楽しみです。どのような結末になるのかワクワクします。頑張ってください (2021年10月13日 13時) (レス) @page38 id: f649cf9af2 (このIDを非表示/違反報告)
ミャーコ - すみた先生さん» 確かにスッゴいビックリしたけどこれはこれでめっちゃ楽しみです…！夢主耐えて…！そして皆で夢主を助けて…！ (2021年9月20日 14時) (レス) id: 09901ebca6 (このIDを非表示/違反報告)
すみた先生(プロフ) - ゆうなさん» みなさんの予想を裏切ってしまって大変申し訳無いですが、どうしても最終局面でシリアスぶちかましたかったんです……ここからは私好みの話になりますが、チラッとでも読んでいただけたら嬉しいです！ (2021年9月20日 8時) (レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな - ミャーコさんと同じく予想してなかった‥‥え？こっから楽しいみんなと学校生活始まるんじゃないの？ かっちゃんとのラブラブ始まるんじゃなかったの？え、目から水が、 (2021年9月20日 1時) (レス) id: e740e61b6c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すみた先生 | 作成日時：2021年7月21日 18時
