自由は (ページ44) - 小説/夢小説

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『緑谷』

緑谷「あ、香山さん。おかえり。どうしたの？」

『ショッピングモールで死柄木に会ったんだってね』

緑谷「！う、うん」

『…………た』

緑谷「え？」

『何か言ってた？って聞いてんの』

わざわざ合宿前に遭遇するなんて、話が出来すぎてる。絶対何か仕組んでるに違いない。

緑谷「えっと……あ！……でも……」

『何、私が困るようなことでも言ってたの。一丁前に私の心配しないでくれる』

緑谷「……"あいつは苦しんでる。俺は助けてやりたいだけだ"……そう言ってた。ごめん、黙ってて」

死柄木弔、敵連合の頭がそんなことを……私が苦しんでる、か。なんで分かんだよ

『他には？まだ何か言ってたでしょ』

死柄木のことだ、きっとステインのことでムカついてたんだろうな。自分にとっての不条理を全てオールマイトのせいにして緑谷に八つ当たり、ってところかな。全く、どこまで私と似てるんだ

緑谷「"俺たちはいつでもお前を歓迎する"って……

香山さんっ、絶対行かないよね！敵の言葉なんて信用しちゃ駄目だからね！」

『それは緑谷から見た敵への偏見でしょ』

緑谷「っ！で、でも」

『私はどっちも好きになれない。だから、どっちを信じるかは私が決める。あんたのエゴで私を縛らないで。じゃ』

緑谷の言葉は世間一般的には正しいんだろう。でも私には分からない。必ずしもヒーロー側が善で、ヴィラン側が悪とは限らないじゃんか。私はどちら側でもない、中立も少し違う。何者でもないし、何者でもある。ただ、今身を置いているのがヒーロー側だってことだけ。

緑谷「香山さん！君は、どっちの味方なの……？」

ほんっとムカつく。その顔も、言葉も。私を心配してんのか警戒してんのか……どうせなら警戒していて欲しい。心配なんてされたくない。私の味方は零ちゃん(私)だし、私が味方するのも私(零ちゃん)だ。

『どっちでもあるし、どっちでもないよ。全ては私が決める。あんたはせいぜいお友達を守りなよ』

どうかその中に私が含まれていないことを願う