自由は (ページ26) - 小説/夢小説

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相澤「じゃあ、なるべく個性も使っていけよ」

『……』

香山「A？」

『すみません。どうしても私は個性を好きになれません……

この個性がなければ、父が変わることもなかったし母が出ていくこともなかった。個性があったせいで私の家族は壊れました』

今でも思い出す。個性が出る前のこと。本当に幼い頃だったからはっきりとは覚えてないけど、両親の笑顔と声だけは覚えてる。過去に縋ってるのかもしれない。結局私は前に進めないでいる。

マイク「それが個性嫌いにどう繋がるんだ？」

『っ！』

マイク「個性の発症で親が変わっちまったのは分かった。でも、俺にはそれが個性嫌いに直結するのがさっぱり分からん！」

なんで……

『先生は知らないから……』

マイク「何となくなら分かるぜ？」

マイク「俺の個性で母親は耳から血を出した。そりゃもうでけぇボイスでな！

結構怖がられたぜ。赤ん坊が個性の制御なんか出来るわけねえもんな。泣くだけで遠ざかられた。慰めはしばらくくれなかった。

程度は違ぇけど、大体こんな感じだろ？」

ああ嫌だ。他人の辛い過去なんて聞きたくない。そのくせ私は言うんだ。なんて自分勝手なんだろう。でも嫌だ。

相澤「お前は、家族が欲しかったんだろ」

パソコンに向かいながら口に出した。家族が欲しい？私にだって家族はいた。あくまで過去形だけど。それに、今は香山さんが保護者だ。

『違う』

相澤「他人を否定しないと安心出来ないか。」

『違う』

相澤「自分が正しいと思い込むことで自分を保ってるんだろ。」

『違う』

相澤「だったらもっと言葉の意味を考えろ。全部お前にとって意味のあることだ」

『違う！』

『やっぱり先生に話したのが間違いだった。この際だからはっきり言っておきます。

私が信じてるのは私。他の人の言葉は私には全く響かない。私が従うのは私の心です。ヒーローがなんと言おうと、私が正しいと判断出来なければ間違ってるとしか考えられません。

失礼しました』

少し早足で廊下を歩く。図書室に行こう。

自分勝手だ。自己中。どっちが汚い人間だよ。だから、

『だから嫌いなんだよ……！』