自由は (ページ22) - 小説/夢小説

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零「……魘されてるね」

『誰が？』

零「君だよ。この世界では現実での動きを感じることが出来ない。出来るのは私だけ」

ああ、だからこの前誰かが私を呼んでるのが分かったのか。

『零ちゃんは、ここを創った人なの？』

零「分からない。でもここはAちゃんの意識の中だから、私はここの住人ってことになるね。この世界の本当の主は、君だよ」

『……だから私の思い通りになるのね』

だとしたら、私より前に来た女性は一体……何者？

零「戻らなくていいの？」

『……私も零ちゃんと同じ、ここが気に入ってるんだ。心地良い……ほんとにその通りだよ』

目をぱちくりさせて驚いた様子の零ちゃん。私を騙していたと感じていたんだろう、私に責められると思ってたみたいだ。

『私ね、感謝してるんだよ？』

零「かん、しゃ……？」

『そう、ありがとうって。私を助けようとしてくれたんだよね。全然悪いなんて思ってないよ。

ほんとは望んでない助けなんて迷惑なだけだったんだけど、零ちゃんは違う。下心なんて微塵も感じられない。私の周りは違ったから、そういうことには敏感だったりするんだ。
みんな何かしら裏があって私に近付いてきた。親のことか、私の個性か……気持ち悪かった。』

口を押さえると零ちゃんは心配してくれた。本当、こんな小さな子が他人の心配なんて

『私を、私っていう人間を見てくれなかった。私が纏っているなにかを見て私を決めていた。そんな人間が大っ嫌い。

でも、零ちゃんは違う。君は純粋で優しい、私が心から信用出来る子なんだ。だからこうして話してる。』

零「……違うよ。私は君の心。結局は君なんだ。意思なしって訳じゃないんだけどね、それでも最後は君と同じ。私を純粋で優しいと言うなら、君こそそうなんだ。」

その柔らかく微笑んだ顔が、私をどれだけ安心させてくれるんだろう。こんな小さな子に救われているなんて、高校生としてみっともない。

『…ありっ、がとう……！』

それでも、感謝せずにはいられない。