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〈香山、START〉
相澤先生なら真っ向勝負は仕掛けない。轟たちのときだってそうだった。必ず奇襲攻撃を仕掛けてくるはず。耳をすませ、音を聞け。
止まる。風の音、呼吸の音。その他……来た！
ヒュッ
相澤「……よく分かったな。気配でも探ってたか？」
『……』
コスチュームとパーカーのフードを重ねて被る。コスチュームにはガード付きだ。
とりあえず逃げよう。ゲートさえくぐればクリア、もしくはカフスをかける。大丈夫、私ならいける。弱くない。弱さは克服した。戦える。
この演習場は入り組んでいて、細道などもある。隠れるところはありとあらゆる所に。
『ふぅ……』
さて、個性を使わずに走ってゲートを通過出来るか。いや、相澤先生もそんな単純じゃない。きっと生徒の課題を認識させるのがこの試験の目的。そして、林間合宿でそれを克服させるつもりなんだ。
相澤「まさかこれで逃げたつもりか？」
『んなわけ』
っ、やっぱ弾かれるか。結構強めに蹴ったつもりなんだけど
相澤「個性は使わないのか」
『生憎、個性に頼りたくないんでっ』
屋根の上に登る。ここなら上の心配はない。どう来る？
『……来ない？』
どうしたんだ、なんで来ない。……っまさか！
ゲートまで屋根伝いに走った。くっ、やっぱり
『ドSかよっ……』
ゲート前に相澤先生が立っていた。あそこにいる限り、私がゲートを通ることは出来ない。相澤先生を倒すしか……
大人しく……
相澤「ギブアップか？」
ほんとムカつく。ニヤニヤしやがって……
『だと思います？私がギブアップすると、本気で思ってるんですか？』
相澤「思わないな。お前は変なとこで諦めが悪い。……だがそれもいい」
体術で相澤先生に勝てるかは五分五分だ。殴っては防がれ、蹴っては防がれ、たまに入る。相澤先生も同じだ。よし、癪だけどエンデヴァーの所での職場体験が役に立った。不本意だけど。
『っ先生こそ、ギブアップしたら、、どうですかっ』
相澤「ふっ、先生はな、ギブアップしないんだよ」
それより、と続ける先生。
相澤「ポケットにあるものは使わないのか」
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作者名：すみた先生 | 作成日時：2020年8月1日 11時
