嘘の石【Dr.STONE】② (ページ9)

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Z=57:襲撃ページ9

「火事だ！！」

誰かの怒号が聞こえた。かじ……カジ。家事？舵？あぁ火事ね。あの炎ボーッてなるやつね。

スイカ「全部燃えちゃうんだよ……！」

「スイカ、だいじょぶよ。取り敢えず水持ってこよっか」

スイカ「Aはなんで平気なんだよ……？」

「……知ってたから」

橋の方は戦闘員でもたせるだろうが、こっちはそうもいかない。居住区には老人や小さな子供が結構居る。全員を無事に連れ出すのは難しい。

って、君なら考えるんだろうね。名前知らないけど新体操選手。

あのピンク頭に身のこなし、いつだったかテレビで観た選手だ。とまぁそれは置いといて、ひとまず私は火消しと住民避難に徹しようかね。

「ハーイおじいちゃんおばあちゃん出ようね〜モタモタしてると死んじゃうよ〜」

いくら"ちゃんとしてる"と言っても、初対面の奴の案を採用するかね？ちゃんとしてないの、案外彼の方なのでは？もうちっと優しい攻撃仕掛けてこいや、こちとら背中に大穴空いとんじゃボゲ。

スイカ「ス、スイカも……お役に立つんだよ……！！」

「は？……あれま行っちゃった。お役に立ってない時なんて無いのにねぇ」

何かしらの決意を持って、スイカは橋の向こうへ転がって行った。誰も気付いてない……かと言って私は追い掛けられる体でもない。もうすぐ雲が捌ける、私の予想が正しければ……誰も追い掛けなかったら確実にスイカは死ぬ。

「死なれちゃ困るなぁ……」

住民避難は完了。火消しはパワー系に任せればいいだろう。住民を一人一人数えているコハクに近づき、肩を叩いた。

コハク「A！良かった……逃げ遅れた者は居ないな？」

「逃げ遅れた者は居ないね。ただ、スイカが1人で氷月達を引き付けに行ったかもしれない。多分、予想が正しければ行先は源泉地帯。そんでその近くには」

コハク「！千空っ！スイカが硫酸の所に行ったかもしれん！すぐ追いかけるぞ！」

千空「硫酸……！？バカっ、アイツ……何考えてやがる……！」

「何も考えてないと思うよ。ただみんなの役に立ちたいんだ」

ガスマスクを3つ、2人に渡した。