Z=93:永遠に続く病 ページ45
未来「私、何年寝とったんかな……？」
司「っ……6年…………いや。数千年だよ……未来」
夜が明ける。
コハク「……決して治る事などない。そう知りながら足掻き続けた。何年も…何年も。……待っていたのだな司……君は、ずっと……ずっとこの瞬間を」
治らないと知っても尚足掻き続けた……か。ご立派なもんだ司は。
杠「Aちゃん」
「ん？」
杠「Aちゃんも、お母さんの……石化を解いた方がいいんじゃないかな。せっかく見つけたんだし……復活液ならまた作れるよ！奇跡の洞窟も取り返したし、これから「杠さんや」……！」
「彼女の石化は解かない。そうした方が、彼女にとっても良い選択なのさ」
杠「どういう…こと……？」
「ん〜説明が難しいのぉ………司を例にして言おうか。コハクが言ってたでしょ？司は、未来が治らない病だと知っても、お金のために戦い続けた。私はその逆、彼女が不治の病だって分かってても足掻くなんて事はしなかった」
案の定杠は目を丸くする。そして"お母さん、病気だったの……？"と言う。次に言う言葉は容易に想像出来た。復活液の周辺修復力でその病気も治せる、でしょーね。
その言葉が聞こえてくると同時に、私は口を開いた。
「治せないよ。頭と、心の病気だから」
杠「！」
「石化した腕が折れてたり、脳死だったり……そんなのは復活時に治せるんだろうね。でも、元々頭のおかしい人間は、いくら細胞を繋げたっておかしいままなのよ〜ザンネンだけど」
何が彼女を狂わせたのか私は知らない。その後も、彼女が治らない病気だって分かっても、私は彼女を止めなかった。それは偏に、そんな彼女がどうしようもなく好きだったからなんだろう。彼女にはそうあって欲しいと思っていたからだろう。
「今起こしても、彼女にこの世界は似合わない。もっと文明が進んだ後で、起こしてあげたらいいよ」
ねぇお母さん、私さ、お母さんが大好きだったよ。だから、今はまだ寝ててね。
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作者名：すみた先生 | 作成日時：2022年3月29日 23時
