Z=76:万物は気まぐれって事 ページ28
何やかんやで1月4日、夜。目隠しされた千空が連れてこられた。司に差し出すとか、何か勘違いしているらしいが、コハクが目隠しを外すと……
千空「……！！、天体望遠鏡…………いや、天文台か」
ゲン「一応Aちゃんの設計図で作ったから、俺の記憶よりかはだいぶマシだと思うんだけど」
コハク「今日が誕生日と聞いたぞ、千空の！」
千空「……」
銀狼「あれぇ〜？感動して言葉も出ないのかな〜、泣いちゃっていいんだよ千空ぅ」
照れ隠しか本心か、対司軍の物見櫓に使うと言い出した千空。相変わらず合理的なご感想で何より。
千空「……男が誕生日なんてもんペラペラ喋ったりしねぇ。なんで今日って分かった？……いや、あの誘導尋問か。でも起きた日付知らなきゃ何にも」
ゲン「書いてたじゃない。日付なら、あの木に」
あ、これお涙頂戴になるかな〜。だとすれば出て行くのが得策よね。
下に降りて、村人達の間を通って、巫女の座台の前に来た。ふと星空を見上げてみたけど、案の定感動はしない。
「何がメリットだよ、つってね」
端からこれに対して利益なんて見出してもないんだけどね。私にしてはゲンに面白味の無い嘘をついたもんだ。彼に色々と勘違いされるのは困るなぁ〜……かと言って誤解を解くのも面倒だし…ま、いっか。死ぬ訳じゃないんだし。
やっぱりあの顔が見たくなって、天文台に踵を返した。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
ゲンやコハクらも床に就いたところで、千空は1人望遠鏡の傍で空を見上げていた。そして短く鼻から息を漏らしては、レンズを覗く。精度こそ自身の部屋の望遠鏡に劣るものの、まさかこの時代で宇宙を見られるとは、と軽く笑う。
急に、背中に重みを感じた。
千空「……んだよA」
「……さぁ…なんか、千空の反応が気になってね」
言葉を落とすと同時に布越しに感じる吐息。心臓の真裏に当てられたのはAの額であると、そう気づくのに差程時間はかからなかった。
千空「まさかテメーからプレゼントがあるとはな。明日は地球が割れるか？」
「またまたぁ。君にしては随分非科学的な事を言うね。地球は割れないんだよ。でも、割れるかもしれない」
千空「まぁた矛盾話か？」
「万物は気まぐれってコト」
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作者名：すみた先生 | 作成日時：2022年3月29日 23時
