Z=51:痛み ページ3
千空side
「ふっ、ぅ……っぐ……」
時折苦しそうに眉をひそめ、唸り声を出す度に肩が上がる。ビビってる訳じゃねぇと言いてぇところだが……
千空「……アホA」
「っ……はぁ…………」
頭に手を置く事で安心してんのは、案外俺の方かもしんねぇな。
〈心臓には……っ、いってないよぉ……っ〉
───心臓届いてたら死んでるわ。
こんな小言さえ言えないほど、俺は動揺してたのか……クッソ、調子狂うなぁテメー相手だとよ。
氷月の槍の刃先、長さは14cmくらいだったか。金狼の傷が1〜2cm、Aのはそれより深い。かと言って全部刺さりきるまで待ってるような奴でもねぇ。
背中の皮膚は厚いが骨に当たっててもおかしくない。位置からして当たる骨は真肋の4本目か5本目。心臓に近ぇから折れてたらヤベェどころの話じゃねぇ……
クロム「おぅ千空、辛気臭ぇ顔してんじゃねぇか」
千空「！……フッ、してねぇよンな顔」
登ってきたらしいクロムは、Aの容態を聞いてきた。
クロム「傷は、金狼より悪ぃのか？」
千空「あぁ……本当なら縫わなきゃなんねぇレベルだが、生憎そこまで手先器用な奴はコイツ除いてここには居ねぇ。だからコイツのタフさを信じて待つしかねぇんだよ」
クロム「あの氷月って奴と交渉してたって言ってたよな……それじゃあ、別れ際に刺されたって感じか？」
千空「……コイツなら、交渉時に相手に武器は持たせたくねぇはずだ。コイツでさえ予測出来なかった誰かが氷月にこっそり槍を持たせて、Aが油断した隙に……って感じだろうな」
敵さんに素直に背中見せるような奴じゃねぇ。ギリギリまで警戒してたはず。正面から襲われたんなら……咄嗟に内臓守ったんだ。
クロム「なんかAはよ、千空の味方って感じがすんだ。科学王国の味方、とは少し違う気がすんだよな……もしかしたら、石神村に不利な情報渡したかもしんねぇ」
少し躊躇いが滲む疑いの目をAに向けるクロム。
千空「あ"ぁ……かもな。ただ、今は石神村に不利な情報っつーのは、俺の不利にもなるのが多い。コイツだってそれぐらい分かってんだろ」
「……うん……分かってた、さ……」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 94人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Dr.STONE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：すみた先生 | 作成日時：2022年3月29日 23時
