Z=41:宵の宴 ページ43
「まったく厄介な奴に宣戦布告されたもんだね〜」
ルリの全回復した姿に喜ぶ村人達を遠巻きに眺めながら1人呟く。神経は、まだ先日の感触を覚えていた。
コクヨウ「皆の者!今日から、この男、千空が!この石神村の新たな長となる!!」
「!……ふっ」
思わず息が漏れる。全部繋がったからだ。
ルリ「そう、千空。私……悠久の遥か昔から知っていたのです。貴方の名前は、石神千空」
これまでの違和感が、全て意味のあるピースとしてハマった。そして、きっと昔の事も。
「……やっぱり、君だったんだ。百ちゃん」
彼方の空を見ても、彼は居なかった。分かっていても、あの無邪気に笑う顔は鮮明に見えるような気がするよ。
夜。宴という事で騒ぎに騒ぎまくっている村人達。1人で居たはずなのに、いつの間にか隣にはゲンが立っていた。一歩横にズレると、そう邪険にしないでよと聞こえた。
「残念ながら男女の蜜月は遠慮させていただきたいかな〜」
ゲン「そんな話じゃないって。やっぱりもっと話してみたいかな〜って思ったワケ」
「へー。私は思わねーかなー」
適当にあしらうと、ゲンは楽しそうに笑った。社交界じゃそれが役に立つんだろうけど、生憎私に対しては効果はサッパリ。もはや神経を逆撫でしに来てるようなものだ。
ゲン「Aちゃんってさ、いつから千空ちゃんからお知り合い?」
「……」
ゲン「高校からにしては仲良いよね〜てことは中学?…小学校まで遡ったりする?」
「さぁね〜いつだったかしら。前世とかじゃね?」
振り切って笑ってれば、ゲンの顔は思った通りではなかった。薄ら笑いで私を見下ろして、こう言った。
ゲン「納得〜」
「……私に興味あるなら気をつけた方がいいと思うよ。これ、A様のありがた〜い御忠告」
ゲン「具体的に何に気をつけたらいい?」
「そうだなぁ〜……私の神経を逆撫でしない事?」
ゲン「ジーマーでムズいやつ〜」
ふと視界に、千空とルリが映った。ヒソヒソと何か喋っている。……新長との蜜月ぅ?ンな訳ないか。2人ともそんな風には見えない。
とすると、村の秘密かな。
「おいとまー」
サッとゲンの隣から去り、橋を渡った。門番の金狼銀狼には不思議そうな目を向けられたが、ちょっと"風に当たってくる〜"と言うと、"気を付けろ"とだけ。
さて、どんな秘密があるやら。ねぇ百ちゃん。
109人がお気に入り
「Dr.STONE」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:すみた先生 | 作成日時:2022年2月26日 21時