Z=21:強さ弱さ ページ23
銀狼「千空、僕も悪かったよぅ……まさかマスク無しで飛び込んでくるとは思ってなかったけど、止めなかった…僕も……
で、でも。Aちゃんが居なかったら僕は……っ」
クロム「待て待て!まず誰なんだよっ!?」
質問は挟めないように早口で簡単な自己紹介をした。茶髪君はクロムというらしい。その間も、千空は手を放してくれなかったけど。
「余計な心労増やしたのは謝るよ、ゴメンネ。それよりさ……
硫酸、ゲットしなくていいの?」
単純らしいクロムは顔を明るくして走って行った。その時、腕が開放された。その代わりと言うように、
千空「夜、俺ン所来い」
「……アイアイサー」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
千空side
「いやぁまさかサルファ剤まであと一歩とはね〜恐れ入るよホント」
建前のような言葉と共にラボに入って来たA。
「んで説教のお題目は何かな?」
千空「それは後だ。一個質問に答えろ、正直にな。
指置いてきたって……誰の指だ」
コイツは五体満足且つ十指満足。指は一本も欠けちゃいねぇ。あの言葉が嘘にしては、やけに具体的だ。リアリティがある。
千空「……石化した誰かの指だけに復活薬かけたんじゃねぇだろうな」
「まさか!だって断面から血流れんの見たくないし。指はね、ちまちま作ったのよ。ネズミの肉と骨でね。それっぽいものを」
それくらいは使っていいっしょ?とおどけて見せたA。……コイツの話じゃ、滝に飛び込んだっつってたな。着水時の衝撃でどっかもげてもおかしくはねぇが……
千空「だったら腕作りゃいいだろ」
「合理的に考えたらね。材料も集めようと思えば集められたし、時間かければ不可能な話じゃなかった。……時間をかけなければ、ね」
千空「俺の予測じゃ、テメーがここに来んのは1ヶ月くらい経ってからだと思ってたぜ」
「……買い被ってくれてどーも」
何気なしに触ってたフラスコを置いた。目が合う。
千空「寂しがり屋がこんな所で出てくるとはなぁ?」
「からかってるねー別にいいけどさ。私だって大人じゃないもんでね。
……悪かったよ、千空。だからさぁ」
千空「アホみてぇな心配すんな。俺の考えなんかお見通しだろ」
確かに、コイツは大人じゃない。久々にそれを感じたのは、コイツの腕を掴んだ時。
小刻みに震えていた手は、コイツ自身を騙せていなかった。
109人がお気に入り
「Dr.STONE」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:すみた先生 | 作成日時:2022年2月26日 21時