Z=13:偽りの過去 ページ15
千空side
司に問われた。仲間に裏切られてどんな気持ちだと。
全く、恐れ入るぜA様の詐欺術には。俺らはまだ裏切られねぇ。アイツは……そういう奴だ。次の一手のために動いた。
どちらにせよ、アイツは俺を裏切れない。朝谷Aにとって石神千空は、何にも代え難い人間らしい。
〈千空くんの代わりは居ないんだよ。だからね、Aを裏切らないでね〉
小2にしては中々ガキらしくねぇ口約束だった。そもそも俺は科学大好き少年なもんで、友達っつーのには差程興味も無かった。例外が大樹やAだ。アホ大樹は俺の実験や制作が面白いようで協力してくれてたが、アイツは違った。確かに協力はしてくれてた。でも、どこか科学ではなく、科学を通して俺や大樹を見ていた。人間性を見定めるように、疑いの目は隠せてなかった。
ある日、俺はアイツに問うた。なんでそんなに他人を見てるんだと。
〈お母さんがね、周りの人を疑いなさいって。簡単に人を信じちゃダメだよって。……Aは、お母さんに騙された人みたいになりたくないから、千空くん達を見てるよ〉
朝谷Aの母親は、詐欺師だった。主に結婚詐欺。
〈千空くんは正直だね。科学をしている千空くんはAが一番信じられる人〉
ああは言ったものの、やっぱり人は変わるもんだ。虚言癖とも言えるほど、小学校高学年から今に至るまでにAは嘘をつきまくった。ちっぽけでくだらねぇ嘘から、誰かの人生変える寸前の嘘まで。平気そうな薄ら笑いで偽りを口にした。
開いた視界に最初に入ったのは、あの細めた目。
「礼は面白い科学で頼むよ」
千空「……あ"ぁ…アホほど見せてやる」
仲間に裏切られてどんな気持ち、か。俺の経験則に基づけば……
嘘の嘘は、最初の嘘を守る嘘になる。
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作者名:すみた先生 | 作成日時:2022年2月26日 21時