39話:領域展開 ページ42
弥雲「これが……お主の領域とやらか」
「随分呑気だなクソジジイ」
弥雲「ん……？傷が……それに先程の疲れは」
一面が赤く染められた立方体の中、Aは深く息を吸った。すると、ドロリと体に流れ込むものを感じる。
「ひっ、ひひ……っ、中々のもん……持ってんじゃん」
弥雲「……儂に何をした」
「奪ってんだよ。お前の全部を」
やがて弥雲は崩れ落ちた。対してAは軽い体をピョンピョンと跳ねさせる。良い気分だ、と口角を上げた。アドレナリンが大量に分泌されている。気分が高揚する。喉が渇く。
一瞬のうちにAは弥雲の最後に立ち、拳を突き出した。
「……ん？」
弥雲「すまぬな小童。儂はお主のように愚かではあらぬ」
領域内では、術者の呪力攻撃は必ず当たる。しかし、Aのように呪力で強化した体による物理的攻撃は、呪力を以て防ぐ事が出来る。弥雲の周りには、とても薄い膜が張ってあり、Aの拳はそこで止まっていた。
弥雲「単なる知識不足故の……敗北ぞ」
「……
もう死ね」
次の瞬間には、弥雲の首は落ちていた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
甚爾side
五条の坊に言われて奈良まで来たが……えげつねぇ呪力量だな。
山を駆け上がると、ある寂れた神社が見えた。
甚爾「！……おい」
今さっき帳が上がったのか、まだ濃い残穢を感じる。そして……立っていたのは、血涙する赤露A。長い刀を片手に荒い息を吐いていた。
「殺す……殺す……」
甚爾「物騒だな」
血涙って……相当やべぇだろ。そもそも涙は血液がろ過されたもんだが、ろ過装置がぶっ壊れるまで体を酷使したってのか……？いや、特級案件を本人には言わずに任せていた時点で、奴らの思惑はモロバレだが。
甚爾「もう終わったんだろ。帰るぞ」
「こ、ろす……全部……奪う……！」
甚爾「……めんどくせぇな」
明らかに理性は無い。交流会の時に似てるが……あれより遥かに強い。五感がそう告げている。暴走……か。
甚爾「なるだけ恩人に手荒なマネはさせんなよ……？」
これはこいつを動けなくするまで終わらない、と結論づけて構える。
「っ、と……じ……」
甚爾「！」
「な、お……やぁ……っ、、たす……た……、すけ……」
何かに耐えるように、刀を投げ出して蹲ったA。咳き込んだ時、地面に血が飛び散った。苦しそうに唸っている。
甚爾「……世話が焼けるガキだ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 654人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
すみた先生(プロフ) - ツバメさん» 甚爾は完全に私好みで生存させました(笑)。お褒めの言葉ありがとうございます！！続編も頑張って更新しますのでお楽しみに！ (2022年1月30日 11時) (
レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
ツバメ - 甚爾きたーー！最高です( ´艸｀) 続編楽しみです (2022年1月30日 0時) (レス) @page21 id: 020ea1b549 (このIDを非表示/違反報告)
すみた先生(プロフ) - せなさん» ありがとうございます！頑張ります！！ (2022年1月27日 22時) (レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
せな(プロフ) - すみた先生さん» なるほど、わかりました！ 作者様の中できちんと理由があったのなら、大丈夫です！(？) 続編の説明も拝見しますね！ これからも応援してます、頑張って下さい！ (2022年1月27日 21時) (レス) id: d530fc9998 (このIDを非表示/違反報告)
すみた先生(プロフ) - せなさん» コメントありがとうございます！そのことに関して私の中で完結させていたので、説明が無いままでした。申し訳ありません。続編にて説明の場を設けたいと思っていますので、お手数ですがそちらの方でご覧になって頂ければ幸いです。 (2022年1月20日 18時) (レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：すみた先生 | 作成日時：2022年1月9日 2時
