検索窓
今日:18 hit、昨日:1 hit、合計:212,387 hit

38話:決死の覚悟。死地にて ページ40

Aは憔悴していた。疲労に疲労が重なり、体を回復させる暇すら自身に与えず、絶え間なく攻撃し続けた。


「中々骨のある小童よのぉ……儂も幾百年振りに血が踊るというもの」

「……!」

今まで特に動きの無かった呪霊が、組んでいた腕を広げた。新たな動きにAはその姿を凝視する。一旦立ち止まり、然と見極める。

「小童、名は何という」

「……誰が言うかクソ呪霊」

「儂は弥雲(やくも)。冥土の土産に、お主を浄化させた神の名を覚えよ」

Aは返事をせず、ただ瞬きも忘れて次の一挙一動に神経を注いでいた。そして、高速に回転する脳内では、あらゆるパターンの攻撃手段を、より確率の高い順に挙げていった。


弥雲が両の手を握った瞬間。Aは体の力が抜ける感覚に陥った。否、実際にAの体からは、呪力を中心にあらゆる力が吸い取られていっていたのだ。


弥雲「意趣返し。お主がやった事を儂もやったまで」

「っ……お、れは……奪ってなんかっ、ない……」

弥雲「細かい事は気にするでない」

更に吸い取る力を強めた弥雲。Aは膝を着いて刀を手放した。それでも目だけは、決して相手から逸らそうとはしない。


「……、…ぅ……と……ぇ……、」

弥雲「何を言っておるかは知らぬが、力が尽きれば終わりじゃ」

睨み上げながら、Aはブツブツと呟き続ける。脳内を整理するように。


「出力を上げる……制御……抑える……広げる……手の、中に……応用………全部……奪ってやる」


Aの感覚は研ぎ澄まされていた。爪の先まで神経が通っているかの如く、どんな空気の流れも敏感に感じ取っていた。そして、疲労とは裏腹に冴え渡る頭。術式を使えば使うほど、磨き上げた鉱石のように、鋭く光る。


そして


「……出来そう。……いや、




出来る。」


途端、弥雲はAから何も奪えなくなった。術式を解いたからでは無い。扉が閉められたような感覚……いや、これは…………生き物が己の最大の力をぶつける時に現れる……溜め。



Aの足元には、丁寧な指使いで【愛】と印された。





「領域展開…………一騎当千」

術式一覧と領域展開について→←37話:疲労



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (213 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
654人がお気に入り
設定タグ:呪術廻戦 , 男主 , 禪院直哉
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

すみた先生(プロフ) - ツバメさん» 甚爾は完全に私好みで生存させました(笑)。お褒めの言葉ありがとうございます!!続編も頑張って更新しますのでお楽しみに! (2022年1月30日 11時) (レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
ツバメ - 甚爾きたーー!最高です( ´艸`) 続編楽しみです (2022年1月30日 0時) (レス) @page21 id: 020ea1b549 (このIDを非表示/違反報告)
すみた先生(プロフ) - せなさん» ありがとうございます!頑張ります!! (2022年1月27日 22時) (レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
せな(プロフ) - すみた先生さん» なるほど、わかりました! 作者様の中できちんと理由があったのなら、大丈夫です!(?) 続編の説明も拝見しますね! これからも応援してます、頑張って下さい! (2022年1月27日 21時) (レス) id: d530fc9998 (このIDを非表示/違反報告)
すみた先生(プロフ) - せなさん» コメントありがとうございます!そのことに関して私の中で完結させていたので、説明が無いままでした。申し訳ありません。続編にて説明の場を設けたいと思っていますので、お手数ですがそちらの方でご覧になって頂ければ幸いです。 (2022年1月20日 18時) (レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:すみた先生 | 作成日時:2022年1月9日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。