36話:付喪神 ページ38
迷わず指で文字を書きながら、振り向いた。……この気配、この強さ。交流会で東堂と虎杖が戦った呪霊と同等……つまり、
「……こいつが本命か」
特級。
「お主……憑かれておるな」
!喋るのか……っ、とりあえず防御固めておくか。
「……加算呪法、堅甲利兵……」
「……ほう、我が力を複製しその身に取り込むか」
「……なんで分かる」
着物と袴姿で烏帽子を被った、シワシワの顔の呪霊は、腕を組んだまま一歩前に出た。圧に押され俺は片足を下げる。
「何故恐れる。お主の
「……」
やめろ、と出てこようとするそいつを押し留めた。そいつはいつもより重い空気を纏って立ち止まる。……それでいい。俺がやるから。
「……別に怖かねぇよ」
「いいやお主は恐れておる。儂は人間の心理を熟知しておるのでな、お主の心も手に取るように分かる」
「……呪霊に人の心が分かってたまるか」
刀をグッと握る。……気を抜くな、いつ攻撃が来てもいいように……呪力で体を固めるんだ。
「呪霊……儂は呪いではない。儂はこの社に住まう付喪神ぞ」
「……神なんて居ねぇ」
「信仰するものが無い者はいずれその身を滅ぼす。ここに訪れる者は、叶わぬ願いばかり儂に頼む。神も万能ではあらぬというのに、人間とは欲に塗れておるな。だが、それもまた愚かな人間の性というもの。儂は、願いが叶わぬ者が儂の元に文句をつけに来た時にだけ、教えを説いておるのだ」
要らん事をペラペラと……うぜぇな。さっさと祓いたいところだが、こいつ……喋ってる割に隙が無い。
つか……聞いてねぇよ特級案件とか。
「……教えを説くって……殺してるだけだろうが」
「儂はその行為を浄化と呼んでおる」
「……分かんねぇから、祓う」
「……物分りの悪い人間は好かぬな」
息を吸って、肺に溜めてから止めた。そして、一気に脹脛に酸素を回し駆け出した。
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すみた先生(プロフ) - ツバメさん» 甚爾は完全に私好みで生存させました(笑)。お褒めの言葉ありがとうございます!!続編も頑張って更新しますのでお楽しみに! (2022年1月30日 11時) (レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
ツバメ - 甚爾きたーー!最高です( ´艸`) 続編楽しみです (2022年1月30日 0時) (レス) @page21 id: 020ea1b549 (このIDを非表示/違反報告)
すみた先生(プロフ) - せなさん» ありがとうございます!頑張ります!! (2022年1月27日 22時) (レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
せな(プロフ) - すみた先生さん» なるほど、わかりました! 作者様の中できちんと理由があったのなら、大丈夫です!(?) 続編の説明も拝見しますね! これからも応援してます、頑張って下さい! (2022年1月27日 21時) (レス) id: d530fc9998 (このIDを非表示/違反報告)
すみた先生(プロフ) - せなさん» コメントありがとうございます!そのことに関して私の中で完結させていたので、説明が無いままでした。申し訳ありません。続編にて説明の場を設けたいと思っていますので、お手数ですがそちらの方でご覧になって頂ければ幸いです。 (2022年1月20日 18時) (レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すみた先生 | 作成日時:2022年1月9日 2時