21話:成果 ページ23
メカ丸「最近三輪と赤露は一緒に居るナ」
真依「彼、刀を使い始めたそうよ」
木刀での稽古を始めて三日目。だいぶ理屈は理解して動けるようになった。三輪には泣きそうな顔をされた。
三輪「こんな上達早いなんて聞いてませんよ!」
俺のせいじゃないとは思いたいが。
速い動きも見慣れた。最初は追えても対処は出来なかったから大きな上達だろう。
三輪が振り上げると同時に懐に寄る。こうすれば間合いを取るには三輪自身が下がらなければならなくなる。そこを下段から……
「っ、!」
三輪「あっ……!」
どこを叩けば最小の力で最大のダメージを与えられるか。三輪の木刀が吹っ飛んで地面に刺さるまでそんな事を考え続けた。まだ、まだだ。俺は構える。相手に戦う意思がある以上、勝ち負けは決まらない。
最終勝利条件は、相手を戦意喪失もしくは戦闘不能に追い込む事。
三輪「……参りました」
「……やらないのか?」
三輪「正直体術でAに勝てる気がしないので……私の負けです!」
清々しい笑顔で言った三輪が少し不思議だが、相手に戦う意思が無いなら終わりだ。木刀を下ろして三輪のを拾いに行く。
メカ丸「上達したナ赤露」
「……うん」
真依「ここ数日ずっと稽古してたみたいだけど……肝心の呪力とのバランスはどうするつもりなのよ。得物に呪力を纏わせるやり方は分かるの?」
「……?あぁ、やった事はないが感覚は分かる。木に水を染み込ませる感じだな」
真依「本当にそれで上手くいくのかしら……交流会は明日よ?」
「……大丈夫。やろうと思えば大体の事は出来る」
俺なりの宣言のつもりだったのだが、真依は呆れた顔でため息をついた。解せないから、やってみようかと置いといた刀を手に取る。木刀より少し重い。鞘からゆっくり刀身を出す。鞘を置いて両手で握った。
呪力を……染み込ませる。
「……っ、!やば」
ドロっとしたものが手のひらから浮き出る感覚に、反射的に刀を手放した。
体に熱が溜まる。……ヤバい、やり過ぎたかも。
慣れてきたのか、ここ最近呪力を行使しようとすると言葉が聞こえない時がある。タイムロスが無くなって有難いが、体に馴染んだステップが無くなって微妙だ。
「……あの、東堂……東堂呼んできて。グラウンド……壊すかも」
三輪が走って行ったのを眺めながら座り込んで、深く息を吐いた。
……暴走も無くさなきゃ。
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すみた先生(プロフ) - ツバメさん» 甚爾は完全に私好みで生存させました(笑)。お褒めの言葉ありがとうございます!!続編も頑張って更新しますのでお楽しみに! (2022年1月30日 11時) (レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
ツバメ - 甚爾きたーー!最高です( ´艸`) 続編楽しみです (2022年1月30日 0時) (レス) @page21 id: 020ea1b549 (このIDを非表示/違反報告)
すみた先生(プロフ) - せなさん» ありがとうございます!頑張ります!! (2022年1月27日 22時) (レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
せな(プロフ) - すみた先生さん» なるほど、わかりました! 作者様の中できちんと理由があったのなら、大丈夫です!(?) 続編の説明も拝見しますね! これからも応援してます、頑張って下さい! (2022年1月27日 21時) (レス) id: d530fc9998 (このIDを非表示/違反報告)
すみた先生(プロフ) - せなさん» コメントありがとうございます!そのことに関して私の中で完結させていたので、説明が無いままでした。申し訳ありません。続編にて説明の場を設けたいと思っていますので、お手数ですがそちらの方でご覧になって頂ければ幸いです。 (2022年1月20日 18時) (レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すみた先生 | 作成日時:2022年1月9日 2時