所以 ページ31
「飛びつかないっ！トス見てからだぞ」
『！、クソっ』
自分の直感と思考を信じると、トスと同時に跳んじまう。その度に黒尾に注意される。
「立花……お前、我慢苦手だろ」
『……ん、おう』
答えると、黒尾は腰に手を当てて背中を伸ばした。そして、やっぱりなと言いながら少し困ったような、呆れたような顔を見せた。
『……分かってんだよ、リードブロックが我慢のブロックだっつー事くらい……でも、今まで一人でやってきたようなもんだから……全部、俺が止めねぇとって思っちまう』
「なぁるほどね〜……コートに立つと体が反射で動くって訳か」
『反射……。なあ、俺って何も考えてねぇように見えっか？』
俺が不意に聞くと、黒尾は案外すぐに肯定した。と思ったらハッとして気まずそうに言葉を濁した。いつもならキレるとこだが、今回ばかりは他にすべき事が山積みなんだ。
『……ほとんどの奴はそう言う。けどな、こう見えて意外と色々考えてんだぜ。確かに思ったままに突っ走るとこもある。
でも、“どこに居たらボールがとりやすいか”とか、“コイツの得意コースはどこだ”とか、“どのローテでどんな攻撃と防御してくんだ”とか。俺、小学の時はセッターだったし、それより前はリベロだってやってた。いや、今まで全部のポジションやってきたんだ。それなりに考えてる』
止まらず言う。対して黒尾は特に驚きもせず、淡々と返した。
「お前の動きは、その場の一瞬で判断したものか」
『経験則っつーのか？それみてぇって言われるけど、違う。やった事ある相手ならまだしも、初対面の奴相手に今までのパターンが全部通じるとは思ってねぇよ。だから、大体はその試合通して分析、何となく分かったとこで予測、んで当たる自信あるやつには跳ぶ』
俺だって考え無しに跳んでる訳じゃねぇ。でもこれは我慢とは別モンだと思ってる。トスを見てから跳ぶ、なんて出来る程のバネも俊敏性もあるようには思えねぇし、そもそも自信があるから跳んでるんだから待つ必要も無いと考えてた。
『俺がお前に“リードブロックは俺には向かねぇ”って言ったのはそういう事だ。
……だから出来るようになりてぇ』
「そこまで言うんだったらしゃーねーなぁ？」
視線を落とした俺の肩を、黒尾はウゼェ笑顔で叩いた。
「みっちり体に叩き込んでやるよ！」
少し後悔したかもしんねぇ。
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すみた先生(プロフ) - ぁさん» ありがとうございます！次から続編に移行しますので、そこでも頑張ります！更新遅いですが、出来れば読んで行ってください！ (2022年1月28日 17時) (
レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
ぁ - 更新頑張ってください！ (2022年1月28日 0時) (レス) id: 4b3179590f (このIDを非表示/違反報告)
すみた先生(プロフ) - 千椛さん» ありがとうございます！なるべく早く更新します！！待たせてしまい申し訳ありません！ (2021年10月21日 21時) (レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
千椛(プロフ) - 更新待ってます！ (2021年10月21日 6時) (レス) @page31 id: 23dec5609f (このIDを非表示/違反報告)
すみた先生(プロフ) - 青丹色さん» ありがとうございますっ！クオリティ落ちないように頑張ります！ (2021年8月18日 8時) (レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すみた先生 | 作成日時：2021年8月6日 23時
