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3日目。
さっさと帰そうと午前8時にドクターの家まで来た。少しだけ寝惚け気味の頭を振ってドアを開けた。
『っと……お邪魔だったか』
上裸のクロが居て、どうやら診察のようだった。
「冗談じゃねぇ。誰が小僧と見合いなんざするか」
「いつつ………案外反応薄いのねJACK」
『男の体なんか見た事ない生娘の反応を期待してたんならお生憎様』
「まぁお前にはQUEENが居るからな」
『残念。恋愛事には興味無いんでね。
ドクター、クロの体はどうなの』
「問題ねぇ。来週あたりに抜糸すりゃ元通りよ」
『じゃあ予定通り今日帰していいんだね?』
「あんま騒がねぇようにな。傷が開いたら逆戻りだ」
「わぁってるよ」
服を着ながら立ち上がって、ベッドサイドの台からルビーのネックレスを手に取ったクロは、それを首に着けて私の横を通り過ぎて言った。
「帰れるんだろ?」
『……まぁね。外に車があるから先に乗ってな』
「じゃあまた、ドクター」
「次で最後にしとけ」
クロが出て行ったのを確認し、私はクロが座っていた椅子に腰を下ろした。
『ドクター、言っとくけど「分かってる」……』
「これは人助けなんかじゃない、全て自分が助かる為の手段。そうだろ」
『そう』
「俺から見たJACKは変わらない。お前が何してようと、お前のイメージは変わらずクソだからな」
『……助かる。金は払う、今回のは私の失態だからね』
「なら貰っとくか。……しかし珍しいなJACK。お前が自分の失敗を素直に認めるか。それも今回は味方相手じゃねぇだろ」
本来なら拳銃はただのハッタリで、KINGの意識が逸れた所でQUEENが制圧するってのがシナリオだった。KINGの言った通り、自分のアジト内じゃ武器なんて持ち歩かないと思ってた。慢心……クロが倒れた時に指を動かしてなきゃ何も思いつかなかった。
『クロには少し借りを作ってしまったからね。借りはさっさと返した方がいいと思ったまで』
「そうか。……早く行け、待たせてんだろ」
『じゃ。サンキュー』
足早に建物を出た。
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作者名:すみた先生 | 作成日時:2021年4月10日 18時