111発目 ページ28
「！KING……」
「やぁQUEEN。昨日ぶり」
『ストーカーとはいやらしいなKING』
「まぁそんな事言わずに。少し話そうよJACK」
『私は急いでるんでね。今度は正規のお誘いを願うよ』
「お茶菓子は何が良いかな？」
『準備しても多分行かないと思うけど』
「それは残念」
KINGはジャケットの内ポケットから拳銃を出して、私に向けた。
「リベンジ、してもいい？」
「はっ、負け犬にリベンジはねぇわ」
「言っとくけど……QUEEN、俺はまだ君を諦めてないから」
「熱烈だが、野郎からのお誘いには乗れねぇな」
『KING、私も学習したんだ』
私は持っていたナイフを真っ直ぐKINGに向かって投げた。
「……」ﾀﾞｧﾝｯ
KINGは一発撃って威力を相殺した。ナイフは重力に従って落ちる。
ありがとう、素直に撃ってくれて。
ポケットから玉を出し、地面に叩き付けた。たちまち濃い煙が立ち篭める。
「(煙幕……！)」
『行くよ』
「おう」
立ち上る煙と一緒に屋根の上まで建物の出っ張りを伝って登る。
『さて帰ろうか』
「とんだ刺客だったな」
『恐らくKINGは、ここら一帯の商人を買収してたんじゃないか？私達が行きそうな所を片っ端から洗い出して』
「シンプルっつーのはそういう事か。でも効率的とは言えねぇな。襲いたいなら尾行なり何なりすりゃあいい」
『いや。私でもああするよ』
「なんで」
『もし私がKINGの立場だったら、有益な情報は何一つ無い。見つけたとしたら、行動範囲くらいだろうね』
「でも範囲が広すぎだろ。合理的じゃねぇ」
『だから、KINGは賭けたんだよ。全てが計算通り
行く訳じゃないって知ってるから』
「博打か……」
『そゆこと。私だってやるでしょ？』
「そーだな」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
『……』
助手席で目を閉じるJACKを横目に見る。
とんだバケモンだ。コイツもKINGも。
"明らかにそこを通りたい"
"暁、そこを通りたい"
俺でさえ一瞬何の事か分からなかった。
KINGは俺の戦闘時における能力を買ってた。
だが、俺からしたらアイツの目は節穴だ。
「着いたぞ」
『……ん』
"お前さんはいずれ、この界隈の頂点に君臨する"
じいちゃんは叶多にそう言った。
「バケモンめ……」
『何か言ったー？』
「気持ち悪ぃくらいに強えってこと」
『そりゃどーも』
KING、本当に強いのは俺じゃねぇぞ。
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作者名：すみた先生 | 作成日時：2021年4月10日 18時
