122発目 ページ39
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈10年前
「お嬢!俺たちはどうすれば……」
「何とか言ってくださいよ!」
『ぁ……え……』
ボスを含む幹部全滅。加えて構成員の半分以上も殺された。俺の父さんも、母さんも。みんな。
「皆さん落ち着いてください!叶多様は今」
「No.3ならお前が指揮執ってくれよ!俺らは……どうすりゃいいんだ」
姉貴は実質的なNo.3。ボスとマザーが死んだ今、最も権力を持つのは姉貴だった。でも、姉貴は叶多に入れ込んでたから、勝手な判断を下しはしなかった。
俺は震える叶多を、頼りない腕で囲んだ。じわっと涙が滲む。
泣くな。泣くな泣くな泣くな泣くな!!!守るって決めたんだ、ボスとの約束なんだ。叶多は……俺が守るんだ。男なら……泣いてないで叶多を守るんだ!
「だい、じょうぶ。大丈夫だ叶多。お前のせいじゃねぇ」
『ぁ、きら……父さん……母、さん……じい、ちゃん…………っ、ごめん……ごめんなさい……っ』
泣き続ける叶多を、ただ大丈夫と言って腕の力を強める事しか出来なかった。
実質的なsparrow崩壊。多分、この日からsparrowは死んだ。日を追う事に一人、また一人とアジトを離れ、最後に残ったのは俺と、叶多と、姉貴だけ。
守る、んだ……おれが……守る。やく、そく……
「……暁、ちょっと来て」
ある日姉貴に呼び出された。放心状態の叶多が心配だったが、大人しく姉貴に着いて行った。
「私……もうここには居られないわ」
「!なんでっ」
「昨日、国連の人が来て……うちで働けって」
「っ、そんなの断れよ!!まだ叶多が……ボスの血はまだ残ってる!sparrowじゃなくても、俺らのファミリーを作りゃあいい!諦めんのかよっ!姉貴!」
「違う……諦める訳じゃない!」
目に涙を溜めて姉貴は叫んだ。
「私が行けば……あんたと叶多様は見逃されるわ。でも、もし抵抗すれば……国連諜報部が暗殺しに来る。分かって……」
「っ……でも、俺らだけでどうやって……」
7歳と8歳のガキだ。この世界で生きていくにはあまりに非力で、今まで姉貴が小さい依頼をこなして繋いだ命も、明日には消えてるかもしれない。確かに叶多は有り得ねぇくらい頭が良かったけど、まだ力が無かった。俺も、大人相手に勝てるほど強くない。
「大丈夫よ。自分と、叶多様を信じなさい。
暁、あんたが叶多様のバディなのよ」
この日から、叶多は上司でなく相棒となった。
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作者名:すみた先生 | 作成日時:2021年4月10日 18時