100発目 ページ17
「っは……おい…誰も出てこねぇぞ……」
『ふむ………』
嫌に静かな廊下が続く。クロは既にダウンしてしまったし、道案内は期待出来ないな。思いの外QUEENの疲労も溜まってるし……でもこの誰もいない状況が罠である事は確か。
『……進もう。通してくれるなら好都合だ』
「いいのか……っ」
『どうやら外に出してくれるみたいだしね』
監視カメラを見上げて、その向こうで私らを見ているであろう誰かさんに笑った。
「こいつも、そろそろヤベぇんじゃねぇのか……」
『だから早く出るよ』
「道」
『私の勘』
「……頼むぞ」
『任せなさい』
見える光はLEDのみ。天窓の景色は真っ暗だ。
『そういえば今日は新月の日だったな……流石KING、用意周到だな』
月光から方角を割り出そうと思ったが無理らしい。仕方ない、プランＣだ。
『……よっと』
天窓に一番近い空間に跳び乗る。
『クロを』
「……お前じゃ持てねぇ」
額に玉汗を浮かばせて短い息を吐くQUEEN。
『持てなくても、そっちが下から押し上げてくれれば引き上げることくらいは出来る』
「……ん」
これ以上出血しないよう気を付けながら、クロを引き上げる。
『ふっ………よし』
そしてQUEENも登った。
QUEENは背中にクロを背負い直し、私を見た。
「次は。まさかこっから出んじゃねぇだろうな」
『そのまさか、って言ったら？』
目の前の男は心底嫌そうな顔でため息を吐いた。
「ﾊｧｯ……ここが何階か知らねぇが、天窓があるってこたァ相当な高さだ……っ、最悪死ぬぞ」
『さぁてね……そこは、
Catとクロの絆に頼ってみようか』
「は……？」
渋々といった顔のQUEENを屋根の上に押しやり、
『じゃ、行ってら〜』
「はぁ！？」
その体を宙に押した。
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作者名：すみた先生 | 作成日時：2021年4月10日 18時
