5発目 ページ7
部屋には電子音とキーボードを弾く音だけが響く。
『……』
時計を確認すると23:56の表示。ったく……これじゃあまた徹夜じゃねえか……
もう何本目か分からないキャンディーを噛み砕く。これは癖だ。イラつくとこうしてしまう。
『チッ……んだよこの鍵……』
何重にかかってんだよ……これ全部でどんくらいかかるかな……
『あーダメだ。コーヒー飲も』
「お、やっと出てきた」
『……まだ起きてたのか』
「ん、コーヒー。飲むだろ?」
『……ん』
「俺はもう寝るけど、お前は?」
『まだやる』
「そ。あんま無理すんなよ」
『ん』
こんな時にだけ出す年上感がキモイ……
暁が去ったリビングを眺める。……クソ広い。ここに100人呼んでパーティーすら出来そうだ。なんでこんなデケェ家建てたんだ父さん。まぁ私が見たら父さんも母さんもただの親バカだったからなぁ……
だから死んだんだけど。
『犬ねぇ……』
私は再びサーバー室に籠り、深呼吸をして、画面を睨みつけた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
『はあぁぁぁああ!!!!!』
家中に響き渡るくらいの大音量で叫んだ。
「うるっせぇな……んだよ叶多」
『よっしゃあ……やったぜ……』
「!……うーわ隈すっげぇ」
サーバー室のデカいモニターには九鬼の情報がズラっと表示されていた。
私はやった……成し遂げたんだ……
『……寝る』
「おーそうしろ。この処理は俺がやっとく」
『せんきゅー……』
フラフラと自室に向かい、キングサイズのベッドにダイブ。ベッドは少しも悲鳴を上げない。あーふっかふか……
そういえばあれちょっと見たけど
『鬼のくせに葉っぱかよ……』
視界はブラックアウトした。
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作者名:すみた先生 | 作成日時:2021年1月10日 23時