4発目 ページ6
『ふぅ……』
風呂から出てリビングに行くと、暁が興奮顔で詰め寄ってきた。
『鼻息荒いキモイ近寄んな』
「あぁすまん！ちょっとコレ見て！」
『はぁ……？』
見せてきたスマホには、シベリアンハスキー。
「これ！これ飼う！」
『……勝手にしろ』
「ィヨッシャー！！」
サーバー室に入ってパソコンに向き合う。依頼の結果報告だ。
【九鬼に報告。
Crowメンバーを殺害。任務完了。報酬は以下の口座に。
─────────。
Phoenix】
『はぁー終わった……』
さてと……
ｶﾀ……
『？……あ』
写真が……
『…よし。……父さん、母さん、じいちゃん』
4人で笑っている写真。朱雀家最初で最後の家族写真だ。
今ので分かった人もいるだろう。
私の相棒、朱雀暁は朱雀家の人間。私の親戚だ。じゃあ何故私の苗字が柚澤なのか、と思うだろう。
柚澤は母の旧姓だった。それを私が受け継いだ。父の名を暁が、母の名を私がそれぞれ継いだのだ。
「なあ叶多ー！」
『……』
写真はいつも私のデスクに置いてある。だが、何となく……伏せて置いた。
『……何』
「何かメール来てんぞ」
ポケットから棒付きキャンディーを取り出し口に放り込む。
『誰から』
「さっきの九鬼って奴から」
『またか……』
【Phoenixに依頼します。
Catのメンバー1人を殺害して下さい。報酬は1000万出します。
九鬼】
「また1人1000万……」
『……キモイな』
私は基本依頼主を疑わない主義だが、これはおかしい。なんで立て続けに依頼を出す？なんで1人1000万なんだ？どれだけ金持ってんだよ寄越せ。
「どこ行くの」
『……そいつが誰だか炙り出す』
「おー怖。ご愁傷様だなこいつ」
九鬼……九鬼……過去に依頼された記録は無し。……いや、別の名義で依頼してたかも分からんな……
とりあえず逆探知してみるか。
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作者名：すみた先生 | 作成日時：2021年1月10日 23時
