2発目 ページ4
髪を縛り、上で纏める。キャップを被れば男にしか見えないだろう。黒のウェアを着てグローブをはめ、動きやすい格好だ。
『準備は』
「OK」
車は暁が運転する。私はどちらかというと運転は下手の部類に入るだろう。車2台を大破させた時は鍵を没収された。
「居場所はここで間違いないよな」
『セキュリティが甘かったから難なく分かった。あれだけ杜撰な管理体制じゃこっちが心配になるよ』
「言うね〜」
車が止まったのは本部。
では無くて、
『こんちは』
「今日の朝飯」
『山の色』
ガラガラっと開くシャッター。中から出てきた中年男性。
「いらっしゃい」
「よぉじっさん」
「じっさんにはまだまだあるぞ小僧」
『ドクター、いつもの』
「はいはい。そこに並んでるから持って行け」
倉庫内のテーブルに並べられたアイテム。
もちろん本部にも武器はあるけど、あれは実質訓練用だったり護身用だ。任務で使うのはほとんどドクターの武器。
あぁちなみにこの人は、通称ドクター。アイテム開発や情報屋として活動してる。ドクターはもちろんコードネーム、本名は知らん。あっちも私らの本名なんか知らないけど。
この世界じゃ名前は通り名だけで充分。
「ほい変声機」
『ん。ダガー』
「うおっ、投げんなよ……」
拳銃2丁、麻酔銃1丁、ナイフ1本。車にライフル4丁、弾。
『サンキュ。また来る』
「おう」
「……なぁ叶多」
『……何』
「犬飼おうぜ」
『無理』
「即否定は割とグサッとくるんだけど」
『世話出来ない』
「俺がする」
『三日坊主は誰』
「俺」
『以上の理由により却下』
「犬だったら俺飽きないし、なんならお前も癒されるかもしんねぇじゃん」
『……』
「あんな豪邸に2人じゃ寂しいだろ?な、飼おうぜ」
『……はぁ』
「よっし」
まだ何も言ってないんだが。
『……世話はお前がやれ』
「犬種何にしよっかな〜……ハスキー……シベリアンハスキー……!」
『……チッ』
聞いてねぇなこいつ……
「あ、着いた」
『ここか……』
着いたのはある工場跡。見た感じただのボロ工場に見えるが……
「とりあえず行こうぜ」
『あぁ、さっさと終わらせよう』
私はキャップを深く被り、喉に変声機のシールを貼った。
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作者名:すみた先生 | 作成日時:2021年1月10日 23時