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14発目 ページ16

風呂に入って着替え、ドクターの下へ。








「点滴は終わったが、まだしばらくは動けないだろう。少しずつ回復を待つ他ない」


『充分だ。ありがとう』




軽すぎる体を抱え、私達は車に乗り込んだ。









┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈






「!!お嬢……!!?」

「お嬢!」

「お、おいボスに!」



昨日も付き添った2人と共にキールの部屋に向かった。





「ボス!お嬢が!」



ノブを回してた入る。するとキールは動揺しながらこちらに歩いてきた。






「あ、朱里……」


私の腕の中でぐったりしている朱里さんは返事をしない。





『この通り見つけ出しました。誘拐されていて、食事を与えられていなかったようなので衰弱しています。しかし知り合いに点滴を打ってもらったのでもう大丈夫です。

数日寝かせれば元気になるでしょう』



「あ……あぁ……」






朱里さんをキールに手渡す。キールは涙を浮かべて頬を擦り付けた。









「ありがとう、ごさいます……!ありがとうございます……!」


『いえ。仕事をしたまでです』






泣きながら感謝されたのは……初めてだ。いつだって文面上の形だけの感謝ばかりだから、初めてのことに少し戸惑う。……でも顔に出したら駄目だ。




「金を持ってこい……」

「はっ」






黒服が持ってきた札束。……いやそのまんまかよ







「今回は本当にありがとうございました。娘を……助けてくれてありがとうございました。

その中にはほんの気持ちが足されています」


『!……あぁ、こちらこそありがとう。また何かあれば依頼して下さいね』

「はい」









「どうだった」

『感謝されたよ。泣きながら』

「へぇ〜」

『娘が帰ってきただけであんな泣くんだな』

「それだけ大事なんだろ」

『……そーゆーもんか』






助手席のシートを倒して私は(くう)を見つめた。

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作者名:すみた先生 | 作成日時:2021年1月10日 23時

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