誇りが35つ ページ37
「もうそんなに叫ぶんじゃない。
腹の傷が開く、君だって軽傷じゃないんだ。竈門少年が死んでしまったら、俺の負けになってしまうぞ」
早く……杏寿郎の傷を治さなければ。あれでは死んでしまう。
炭治郎と杏寿郎が話している時、私は自力で這って2人の元へ進んだ。ああ駄目だ……いやまだ大丈夫だ。
頑張れ、頑張れ嘉柳。お前なら出来る!兄弟を救って見せろ!
『くっ……ぅ』
「!嘉柳さんっ!!」
『きょうじゅろう……今、治してやる、からな……待ってろ……』
「!いいんだ。もう俺は死ぬ。お前は生きろ」
『嫌だ。嫌だ……お前がいないのは嫌だ……』
刀を抜く。呼吸もままならない。恐らくこれが最後の一撃……
『シィィィァァァ……』
「!やめ」
地の呼吸
拾壱ノ型
慈撃
ザクッ
「!?な、何を……」
「おいギョロ目!何刺してんだよ!?」
『黙れ!!
頼む、上手くいってくれ……』
この型は、編み出した中でも上手くいった試しがない。それでも、やるしかなかった。生かす為に……
「!!血が……止まった」
『ヒュー……カヒュー……カハッ……ぐぅ……』
「!嘉柳!!!!」
霞む意識の中で聞こえたのは、命を賭してでも守り抜きたかった片割れの声だった。
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作者名:すみた先生 | 作成日時:2020年10月25日 19時