誇りが31つ ページ33
「何故手負いの者から襲うのか理解できない」
「話の邪魔になるかと思った。俺とお前達の」
『貴様と何の話をするのだ？私達は既に貴様のことが嫌いだが』
「そうか。俺も弱い人間が大嫌いだ。弱者を見ると虫酸が走る」
「俺達と君とでは物事の価値基準が違うようだ」
「そうか。では素晴らしい提案をしよう
お前達も鬼にならないか？」
「『ならない』」
巫山戯たことを。鬼になどなるわけが無いだろう。
「見れば解る、お前達の強さ。柱だな？その闘気、練り上げられている。至高の領域に近い」
何が至高の領域だ。
「俺は炎柱 煉獄杏寿郎だ」
『私は地柱 煉獄嘉柳』
「俺は猗窩座。姉兄揃って柱とは……やはりお前達は強いのだよ。だが、至高の領域には踏み入れない。何故だか分かるか？」
『人間だから、とでも言うつもりか』
「そうだ。老いるから、死ぬからだ。
鬼になろう杏寿郎、嘉柳。そうすれば百年でも二百年でも鍛錬し続けられる。強くなれる」
『……お前は分かっていない。強さとは、肉体に対してのみ使う言葉ではない』
「老いることも死ぬことも、人間という儚い生き物の美しさだ。老いるからこそ、死ぬからこそ、堪らなく愛おしく尊いのだ」
『彼は弱くなどない。侮辱するのはやめろ』
「『俺/私達は、如何なる理由があろうとも鬼にはならない』」
なりたくもないし、誇りが許さぬ。
「そうか」ﾄﾞﾝｯ
術式展開 破壊殺・羅針
「鬼にならないなら殺す」
斬りかかろうとした。だが私の身体は別の場所にいた。
この気配……以前より強くなっているな。
何より
『何故生きている』
「久しぶりねぇ？」
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作者名：すみた先生 | 作成日時：2020年10月25日 19時
