煉獄家長女、守ります。【鬼滅の刃】 (ページ25)

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誇りが23つページ25

『っ……母上、何故私は……』

「強き者に試練は付き物です」

分かっているのだ。私が弱く、誰の目にも止まらないことくらい。杏寿郎はいずれ鬼殺隊に入り、経験を積んで柱になるだろう。それなのに私は……こんな所で躓き、立ち上がれずに嘆いている。なんと無様なことだろうか。

母上、貴方だけが私の支えでした。

だからこそ

私の傍から居なくなって欲しくなかった。

「くだらん、柱など。鬼殺隊など。大したものにはなれないというのに」

泣くな、泣くな。笑え、笑え笑え笑え！！どんな時でも下を向くな！私は長女だろ！泣くことは許されないのだ！泣くな、笑え！

杏寿郎でさえ、千寿郎でさえ、母上が亡くなった時は大泣きしていた。千寿郎に至ってはまだ物事つく前だ。

『……』

泣くな。歯を食いしばれ。舌を噛んででも涙は見せるな。

口内に血の味が広がろうと、頭の血管が弾けそうでも、私は泣かなかった。

「カヤ！また稽古をしよう！」

『そうだな！』

家の納戸に閉まってあった指南書。たった3冊を頼りに私達は支え合いながら強くなった。もはや杏寿郎に苦手意識を抱いている暇はない。千寿郎の為にも、私達は支え合わなければならないのだ。

少しでも皆が笑ってくれるように。誰も傷つかないように。

たとえ煉獄家だと認めてもらえずとも、私は煉獄家の誇りを背負って戦いたいのだ。

誰よりも永く隣にいた杏、お前と共に。