誇りが19つ ページ21
『どいてくれるかな』
「ガアアァァ！！！……ァ？」
これは喋らないんだな。情報が欲しかったんだが……
ｶﾞｼｬﾝ
扉の鎖を切る。錆びてるから脆い。
ｷﾞｨｨｨ
「ひっ……やめてください！お願いします！お願いします！」
『落ち着いて。私は敵ではありません』
「嘘だ！どうせお前もあいつらの……」
『君が夏輝くんだね？』
「なんで知って……」
『千智ちゃんに聞きました。千智ちゃんは今夜の生贄でしたね。大丈夫、あの子も村人もちゃんと逃げてます。外の鬼も倒しました』
私がそう伝えると、母親と夏輝くんは泣き出した。張り詰めていた糸が急に緩んだのだろう。2人の背中をさすりながら私は、泣き止むのを待った。
『もう誰も死にません。ここまでよく生きて頑張りましたね』
「ありっがとう、ございます……！」
「ありが、、とう……！」
『うん。……さあ、日が昇ります。麓に下りましょう』
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「ご無事でしたか！」
『ああ、でもまだ鬼がいるかもしれない。隠と甲隊士は私と来てくれ』
「お姉ちゃん！」
『千智ちゃん、1人でよく頑張ったね。強い子だ』
頭を撫でると擽ったそうにはにかむ。可愛いなぁ……
「あの、どうかお名前だけでも……」
「そうだ！村を救ってくださった鬼狩り様！」
「どうか！」
『……皆さんを守る者、として覚えていただければ結構です。私達が皆さんの暮らしを、命を守りますので』
凪が肩に止まる。
「っ……こんなに隊士が…」
『……』ｸﾞｼｬ
ドロドロの地面に跪く。
「地柱様！汚れますよ！？」
『いいんだ。
ありがとう、強き隊士達よ。君達の意志は必ず我々を導いてくれるだろう。どうか安らかに眠ってくれ』
手を合わせる。散っていった同志達に。
例の鬼の場所へ向かった。
「やはり消えていますね。流石です」
『ああ……』
「？何か気になることでも」
『いや。……君は、目に"鬼"と刻まれた鬼を知っているかい？』
「いえ……十二鬼月ではないのですか？」
『十二鬼月ならば数字が刻まれているはずなんだがなぁ……』
「デモオ前ガ倒シタカラダイジョーブ！」
『……そうだと、いいんだがな』
山中の鬼は私と甲隊士で片付けた。さて、お館様に報告しなければ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 11人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：すみた先生 | 作成日時：2020年10月25日 19時
