誇りが16つ ページ17
「お姉さんは……?」
『私は悪いやつを倒さなきゃいけない。でも、千智ちゃんの他に助けなきゃいけない人がいるなら、教えて欲しい』
じっと見つめる。
「お母さん……あと、弟……
村の倉に閉じ込められてる……みんなからいじめられて……お母さんと夏輝は悪くないのに……」
どうやら弟の名前は夏輝(なつき)らしい。2人は鬼や儀式などは良くないことだと言って住民から軟禁されていると。
『分かった。2人もちゃんと助ける。倉の場所は分かる?』
「神社の裏。でもあそこ……鬼が守ってるから……」
『大丈夫!私は強いからね!さ、走って!振り返らずに。私が守るから。
そうだ、麓の仲間に伝えて欲しいんだけど
──────────。頑張って』
そう言うと千智ちゃんは走り出した。
『さぁて……誰が最初かな?』
「儀式……儀式……」
「あの方は神様だ……生贄を捧げなければ……」
「返せ……返せ……贄を返せ……」
『君達は人間だ。鬼に与することはないぞ』
「黙れ!」
1人か飛び出してきた。手には包丁。なるほど……
ザッ、トンッ
「カッ……」ドサッ
「う、うあぁぁ!!!」
『なるべく人間は傷付けたくないんだがなぁ』トンッ
「っっ……」
『さて次は誰かな?』
「鬼狩り風情が……あの方を殺せるわけが無い!あの方は……我々を救ってくれた、神様だ……!」
『神じゃない。鬼だ。人を喰らう化け物だ。
何か事情があるんだろう?』
そうとしか考えられない。本当に心酔しているなら
『そんな怯えた顔はしないだろう?』
「!!」カシャン
次々に武器を落としていく。やはりか
『話してごらんなさい。私はあなた方を助けたい』
「……俺達だって、好きでやってたんじゃないんだ……」
「ある日突然現れて、周りにいた年寄りをみんな殺しやがった……」
「"こうなりたくなかったら毎月1人贄を捧げなさい。さもなくば村を消す"
私達はこの村を守りたかっただけなの!」
「助けてくれよ!」
「あの鬼さえいなければ……!」
「ごめんなさい……今まで何人も生贄を捧げてしまった……ごめんなさい……」
『分かりました。あなた方の無念、私が晴らしましょう』
「出来るのかしら?」
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作者名:すみた先生 | 作成日時:2020年10月25日 19時