誇りが15つ ページ16
夜。月のない漆黒の闇。
男性から聞いた話だと、儀式は集落の奥にある神社で行われるらしい。そして、鬼は異形ではなく人型。容姿について聞くと、
白髪の女性とのこと。そしてその眼には文字が刻まれていたと。
目に文字が刻まれているとすれば間違いなく十二鬼月。片目であれば下弦、両目ならば……
『……あそこか。凪、念の為隠を麓に待機させていてくれないか。それから、私の後に来る隊士は山に入らせるな。隠と共に待機命令を出しておいて』
恐らく向こうは鬼殺隊を知っている。無論今夜も来ることは想定内だろう。油断はしていないはずだ。していたら好都合だったのだが……
そういえば、彼が言っていた
"神さんの怒り"
とは何だったのだろうか。
「おいでになられたぞ!」
『!……』
「嗚呼……本日もお美しゅうございます……」
「やはり神の如き容姿、我らの誉れであります」
「ええ、貴方達が生きていられるのは私のおかげよ」
背筋が凍るほどの声音。絶対零度で、感情など含まれていなかった。あれが
「今月の贄は用意しているんでしょうね?」
「はい!こちらです。ほら、来なさい」
「っ……ひ」
連れてこられたのはまだ10にもなってなさそうな幼女。許せない……あんな小さな子を殺すなんて。絶対止める、そして鬼の首を斬る。
「これはまた美味しそうな子ね」
女の子に手を伸ばし、届く時
ザシュッ
「!?」
「お、鬼狩りだ!!」
「なんで……昨日殺したじゃない!」
「黙りなさい。……へぇ、あなた柱ね?昨日までの鬼狩りとは速さも斬撃の正確さも桁違い」
『私は鬼殺隊地柱 煉獄嘉柳。お前を斬る』
女の子を背に隠し向き直す。
「キャッハハハハ!!!無駄よ!貴方は私に勝てない」
『どうかな』
「っ……儀式の、邪魔をするなぁ!!」
おっと。住民が鬼側なのは百も承知、女の子を守らなければ。
ひとまず抱えて下がろう。
『……貴方、名前は?』
「ひっぐ……ぅぅ……」
『大丈夫、私が貴方を守る。お名前、教えてくれる?』
「っ、ちさ、、と。千智……」
『千智ちゃんかぁ……可愛い、良い名前だ。
千智ちゃん、ここを真っ直ぐ走って麓に降りていけば、私の仲間がいる。大丈夫、みんな優しくて強い人達だから。だから、逃げて』
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作者名:すみた先生 | 作成日時:2020年10月25日 19時