「お前も、まだまだだな」 ページ22
「相澤くん、逆くんの結果は君から直接伝えてくれるかい」
「俺から、ですか」
「そうなのさ！色々と説明しなければならない事もあるのさ」
と校長に言われて、現在。家にてユキを前に言葉を詰まらせていた。
「大体察しはついてるから遠慮するなよショータ。
重要なのは試験の結果じゃなくて、その前。僕の願書だろう？」
本当に、溜息が出るほどこいつは鋭い。良くも悪くも、察しがよすぎるから困る。自分でも分かりやすい性格じゃないとは思うが、何故かこいつには色々とバレている。
「勝手に悪かったとは思ってる。だが、お前の身辺を嗅ぎ回ったのは、お前の信頼を揺らがせるためじゃないって事は言っておく」
「別に信頼はしてないよ？勝手に色々調べられたのは気分が悪いけどね。で、結果は？」
「……お前の予想通りだ。合格だよ」
「なんぼのもんじゃい。って、言いたいところだけど……その様子じゃ僕が気づいた事に気づいてるね」
至極楽しそうに聞くユキ。
「試験の採点基準に気づいてたのは、多分お前だけだ」
実技試験の採点は、個人で稼いだポイント。それは、仮想ヴィランを倒したもの…だけではない。ヒーローたるもの、人を思う心は常に必要とされる。それを見るために、レスキューポイントも採点に入っていた。
結果として、ヴィランポイントだけで首位をもぎ取った奴も居れば、レスキューポイントだけで合格した奴も居る。
「ヴィランポイント42、レスキューポイント32。成績2位タイで合格だ」
「はぁ〜あれだけで32も入んのね」
「小言を言えば、最後助けた人間をその場に置き去りにしたのが減点だな」
「君も分かってるだろうけど、僕はヒーローになるために試験を受けた訳じゃない。面倒な生活に戻るくらいなら、ある程度ショータの茶番に付き合ってもいいってだけだ。正しく人を助けろだなんて、僕には言わない方がいい」
恐らくこいつにとっちゃ、俺に見捨てられようがそうじゃなかろうが、どっちだっていいんだろう。ずっと1人で生きてきたんだから、最悪逆戻りしようと受け入れられない、なんて事は無い。
そして、俺に見捨てられる事はいつも計算に入れている。
「……お前も、まだまだだな」
「はい〜？何のことやらさっぱりだね」
「書類ちゃんと書いとけよ」
「僕に指図しないでくれる？」
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作者名：すみた先生 | 作成日時：2022年8月17日 12時
