「君も同じだろう」 ページ24
「お前も俺と同じだ。こいつらが死んでも何とも思わない」
「ロジックが破綻してるぜお兄さん。僕に関係ないものが死んで何とも思わないのは当然じゃないかい？」
「そうだなぁ…間違いじゃない」
「バカじゃないようで安心したよ」
「お前、ムカつくな……」
ひた、
男性の左手が僕の頭に置かれた。感触からして、どうやら中指は浮かしているらしい。そういえば猫はこの人の手に触れたから崩れたんだよなぁ……。という事は、この人の手に触れたらいけない訳だが、僕の体はそのままだ。
なるほど、五本指で触れるから意味があるのか。
「面白い個性だね」
「察しがいい子供は厄介だ」
「なら殺しちゃえば？ほら、指をポンっとさ」
水色の猫っ毛の奥で、鮮やかな赤い目が探るように僕を見ていた。僕の黒髪と黒い瞳とは違ってカラフルな人だなぁ。そりゃあこの世には色んな色の人間が居るけど、この人の色は、とりわけ鮮明だ。
まるで、それしか知らないような、純粋な赤。そんな色が見えた。
「……気分じゃない」
そう言って男性は手を離した。
「お前、うちに入れよ」
「何かグループでもあるのかい？」
「お前"あべこべ君"だろ」
「なんで分かるの？」
「お前みたいな奴そうそう居ない」
「君も同じだろう」
とりあえず男性の独り言を聞いてみると、彼は、今あるヒーロー社会をぶっ壊したいのだと語った。オールマイトなんか特に嫌いで、とにかく殺したいらしい。
「俺は俺のやりたい事をやる」
「お！僕の思想と似てるね〜」
「お前は戦力になる、俺の仲間になれ」
「残念だけど、僕は僕の利益になる事しかやらない。君が僕にメリットを提示できるなら話は別だけどね。君の自己満に付き合う気は無いよ。誰かに着いて行くのは嫌いなんだ」
パーカーのフードを被って踵を返した。
「君がバカでないのなら、いつでも話は聞くよ。じゃあね、お兄さん」
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作者名：すみた先生 | 作成日時：2022年8月17日 12時
