あべこべ君【僕のヒーローアカデミア】【男主】 (ページ11)

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「急に先生みたいな事を言い出すね」ページ11

「ワハハー何も無いねー本当にここに住んでんの？」

何やかんやで連れてこられてしまったショータの家。普通のマンションの一室だけど、物が少ない。僕は色んな所を転々としてるから持ち物なんてお面くらいだけどさぁ……一人暮らしでこれは合理性を突き詰めすぎでしょ。

「必要な物があれば言え」

「じゃあ紐が欲しいかな」

「紐？」

「君に引きちぎられた紐、替えが欲しい。出来ればめちゃめちゃ古い、もうちぎれそうってくらいのヨレヨレの紐がいい」

ショータは奥の部屋に行って、しばらくして黒い紐を1本摘んで戻ってきた。

「こんなもんでいいか」

「十分」

解れまくった紐を両手で挟んで力を込める。すると、糸が絡み合って頑丈な紐になった。

「……なるほど、元の強度をマイナスとした時にその絶対値の分だけプラスにするのか」

「ゼッタイチ？」

「お前言葉は堪能なのに数学は分かんないのか」

「そりゃあ最低限のコミュニケーションは取れなきゃ不味いだろう？でも計算は出来なくても死にはしない。優先順位を考えた結果、言葉だけを吸収していった訳だ」

自分が生きていくための知識さえあればいい、僕はそう考える。もちろん学校の存在は知ってたし、何の教科を学ぶのかも知っている。でも必要ないと思ってしまった。だってそれらを学んでない僕が、こうして世の中を生きているから。無くても生きていけるって事が証明されてしまったから。

「……お前の学力が知りたい。簡単な問題を出すから答えてみろ」

「急に先生みたいな事を言い出すね」

「俺は教師でもある」

「お？教師って感じには見えないけど」

「雄英高校は知ってるか」

「ユーエイ………有名な学校だってのは知ってる。ヒーローのための学校だっけ？」

まぁそんなところだ、と言ってショータは床に座った。部屋の真ん中に置かれている小さなテーブルの上に紙を一枚乗っけて、何かを書き始めた。僕も座って眺めていると、その紙とペンを僕に向けてきた。

計算問題……？

「10+23=……33
45-12=……33
3……なんだこの記号？バツ？サンバツジューイチってなに？
下も分からない。この2つの点には意味あるわけ？」

「……マジか」

「そんなヤバいのかい？」

黙りこくったショータ。……どうやら僕の計算能力は、教師であるショータが絶句する程のものらしい。