３話 ページ20
とっさに手を伸ばしたブン太はすみれの手を掴んだ。そして小川に落ちる前に手を引いてすみれを胸元に抱き、なんとか救うことができたのだった。
ブン太「大丈夫か！？」
すみれ「あ、ありが、とう………」
すみれが礼を言った直後、２人はお互いの距離に顔を赤面させて、慌てて離れるのだった。
「いやぁ、ごめんごめん。ここのマスコットを探してる見たいだったから」
すみれが目にした、とてもリアルな河童の着ぐるみの中から聞こえたのは、見た目とはかなりギャップのある優しいおじいさんの声だった。
すみれ「こちらこそ、ごめんなさい」
「お詫びに、これあげるよ」
そう言って手渡してきたのは、河童のキーホルダー。これは着ぐるみの見た目とは違ってとても愛らしい顔をしていた。
すみれ「ありがとうございます………」
すみれはキーホルダーを受け取ると、河童の着ぐるみは２人に手を振って橋から離れていった。
すみれ「びっくりしたぁ…………」
ブン太「俺は"すみれ"の悲鳴にびっくりしたけどな」
すみれ「仕方ないでしょ？突然あんなの現れたら」
今何気にブン太がすみれを名前で呼び、すみれは内心、心臓をドキッとさせていた。普段はすみれを『お前』と呼ぶので、すみれはブン太にただ名前を呼ばれただけなのに、ほんのり顔を赤くしていた。
すみれ「……そろそろ戻ろ」
ブン太「だなー」
***
夜。
旅館で夕食を済ませると、すみれは１人で温泉に行って体を休ませていた。
部屋で義母に「一緒に行こう」と誘われたが、すみれは恥ずかしくて断ったのだ。
すみれ(はぁ〜………疲れたな)
体を洗い終わり、今日１日のことを思い出していたすみれは、ブン太のことを頭に浮かべる。兄妹という関係であれど、やはり見る目は『兄』ではなく『１人の男』。意識せざるを得ないお互いの距離に、すみれはどこか戸惑いを感じる。
すみれ(ブン太君は私のこと、どう思ってるのかな………)
普段人からどう思われているのかなんて、気にしないすみれだが、ブン太のことは気にしているようで、つい意識する。
すみれ(もう、ほんっといやー………)
・
・
・
部屋はお金の都合上、２つ借りずに１つの部屋を家族全員で寝ることに。すみれとブン太はかなり複雑な気持ち。
部屋に戻ったすみれは、もともと着ていた服を鞄に直す。
ブン太「お、帰ったのか」
すみれ「うん………お父さんたちは？」
ブン太「卓球しに行った」
すみれ「え？……満喫してるな……」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 73人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
nanashi - 返信ありがとうございます、教えただなんてとんでもないです；； 兄弟設定とか私好みで性癖ドストライク過ぎてコメントさせていただきました！！ 応援してます、これからもずっとみてます！！ (2018年3月6日 0時) (
レス) id: ce2818ed41 (このIDを非表示/違反報告)
gu-(プロフ) - nanashiさん» そうなんですか！すみません、中途半端な知識で！そうですね、これではいない設定にさせてもらってます！教えていただき、本当にありがとうございます！ (2018年3月5日 11時) (レス) id: 58aa71fb8f (このIDを非表示/違反報告)
nanashi - 凄く面白かったです！！一気見してしまいました( *´艸｀) ひとつきになったことなんですけど、ブンちゃんって二人弟君いるんですけど、設定的に居ないせっていですか？？ (2018年3月3日 23時) (レス) id: ce2818ed41 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：gu- x他1人 | 作成日時：2017年8月3日 19時
