#太宰二乗 ページ2
あれは、今から6年前に遡る。
俺はとある兄妹と出会った。出会ってしまった。
「おや?ごめんね、小さくて見えなかったや」
『中原中也くん?え、小也くんじゃなくて?』
くすくす。ムカつくほど顔が整っているため傍から見れば微笑ましい。が、俺の額に青筋を立てさせるには充分な挑発だった。
俺は暴れた。そりゃあもう、姐さんと森さんが慌てて抑えに来るほどに。しかし、神……は元から信じてはいなかったが、やはり俺の見方ではなかった。
「わぁ、凄い破壊力!それが異能でなければ私はいとも簡単にあの世行きだったのに………勿体ないねぇ。」
兄、太宰治。此奴は反異能力者。あらゆる異能を無効化する力の持ち主であった。俺がどんなに重力弾を打ち込もうと、小指1本で消失してしまう。
次第に、力が出なくなってきた。あの”汚濁”を使わない限りこの異能に制限は無いはず、と目を見開く。
『うわ、なんか変な感じがする。地上にちゃんと立ってないみたい!』
立つこともしんどくなりついには膝をついてしまう俺の目の前には、楽しそうに重力弾を壁に放つ女がいた。妹、太宰Aである。
『私の異能力はかけられた相手の異能力を奪う力だよ。中也はさっきから私に力を与えていた、ということ。逆に私に吸い取られた異能力者は次第に力を失う。ゲージを0にしたくなければもう打つの止めたら?』
「A、そろそろ森さん達が来るから逃げよう。」
『はぁーい。またね、中也!』
手を取り顔を見合わせながら笑い去る兄妹を見つめ乍、いつかあいつらに復讐してやると、誓った。
「(つーか妹の方、なんで呼び捨てなんだッ年下だろーが!)」
意識が遠のきぼんやりとした思考で、そんなことを考えた。
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作者名:A | 作成日時:2018年3月19日 13時