【SVT】契約彼女 (ページ5)

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SC side

久しぶりに休みが取れたので

前々からやってみたかったロッククライミングに行ってみることにした。

スニョニが「ヒョン！ロッククライミング行ってみてくださいよ！」とうるさいから

気になってはいたけど、結構キツイ。

一人で黙々とやっていて、適当に休憩をとっていたら

となりの女性に声をかけられた。

俺がアイドルということには気づいていないらしいが

念のため帽子を深くかぶった。

綺麗な人だな…

不覚にもそう思ってしまった。

仕事のことを聞かれたが、内緒ですとお茶を濁して

壁の元へ戻った。

この仕事してなかったら、即連絡先聞いて

明日の契約恋人パスするのに…。

契約恋人制度が出来てから1週間が経ったとき

事務所から呼び出された

話の内容は契約恋人の件についてだった。

社長｢結論から言うと、この契約恋人制度は国によって決められているためアイドルも強制的に対象内になるそうだ。

他の事務所のグループも、もう既に宿舎にペアを呼んで一緒に暮らしているらしい。

君が25になったその日にマネくんが、宿舎に君のペアを連れていくことになったから、頭の片隅に置いておいてくれれば、今はそれでいい。｣

社長｢ただ、その子には申し訳ないが

誰もなにもしないでくれ。

とりあえず騒ぎにならないように一緒に暮らすだけだ。｣

こんなやり取りがあって

明日の誕生日のことを考えると、不安で不安で夜も眠れなかった。

次の日、マネヒョンに連れられて少し戸惑った表情で現れたのは

昨日の綺麗な人だった。

『あっ！昨日の！』

「…こんにちは」

なんで神様は、こんな意地悪なサプライズをするのだろう

彼女は俺の手に届くところに来たのに

俺は何も動くことが許されない。

彼女に俺たちがアイドルであり、ここの宿舎で生活していることを告げると

「わぁお…」

と一言。

こんなに綺麗な人なのに

一つ一つの相槌が少し腑抜けていて

彼女の柔らかい雰囲気に

いい印象を覚える。

俺が普通の男で

出会いがこんなんじゃなければ…

こんなことを考えてしまうほど

もう君に夢中になっている自分に

少し女々しさと情けなさを感じて

恥ずかしくなった。

そんな彼女の名前は

『あ！そうだ、自己紹介がまだでしたね。

初めまして、Aです。』

Aちゃん…か。

｢ねぇAちゃん

僕は、契約が切れるまで何もしません｣