告げる想いは涙となって

5話 ページ5

「5分過ぎたか･･」




改札を出て少し距離を
おいた所から様子を見ることに。

とは言え彼女がどの女性かは
特定不明。

本来なら大貴が来て
彼女を俺に紹介するはず
だったからね。

ふたりだけで
会うわけじゃないから
どんな服装とか持ち物とか
伝え合っていないし⋯⋯




「⋯⋯」




まだ5分過ぎくらいだから
特定はできないが
ちらほら待ち合わせで
佇んでいる女性は数人いる。




「どれだぁ」




大貴の好みから検討して
見定める。

その中から3人程外し
特にこれと言って目立つ
外見の女性ではない2人に
的を当ててみる事に。



『いのちゃんもさ
　 たまには内面見てみなよ？』


『なんでよ？可愛いに
　 越した事ないデショ？』


『そ、そりゃそうかも
　 しんないけどさぁ⋯』


『俺はい〜の！
　 可愛いけりゃそれで』


『いのちゃん⋯』



大貴は俺と違って外見で
付き合う事はしなかった。

可愛くないわけじゃないけど
割りとその辺にいるような
普通の顔立ちとスタイルの
人を選んでいた。


正直、俺にはわからなかった。


アイドルという職種を
選んだ時点で、恋愛に純粋な
視界は塞がれていたから。

勿論、中には一途に貫く
恋愛をしている奴もいるけど
結局長続きはしない。

人気が出れば結婚は
容易くは許されず
言い寄ってくる連中は
男女問わず増えてくる。

同じ業界に居ようが居まいが
プラトニックな恋愛ほど
独占欲が醜く膨らんで
どんなに愛しあっていても
一瞬にして冷めていく⋯⋯




「15分⋯」

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