4話 ページ4
「あぁ、大ちゃん。
俺今向か⋯⋯へ？」
『ほんとゴメン！
かなり押しちゃって
まだ終わりそうもないんだ。
やっと隙見て連絡できて･･あっ
呼ばれちゃった。ちゃん！
頼んだよ！！Aちゃんに
連絡してらんないからさ
ほんと、ゴメンッ⋯』
「ちょ･･っ、大⋯」
オロオロした声は
伝えなければならない事を
捲し立てて告げるのが
精一杯な感じで通話は切れた。
「⋯⋯はぁ」
漏れた溜め息は気の重さの表れ。
大貴が付き合っている
彼女と俺を互いに紹介したいと
決めた夕食の約束。
俺は昼前には仕事が終わるし
大貴も夕方前には上がると
いう事で今日にしたのに⋯⋯
そりゃさ。
俺らの仕事は定時内で
きちんと流れるもんじゃない。
こういう事は日常茶飯事なわけ。
けど⋯
「なんで今日なんだよっ」
吐きながらスマホで時刻を
確かめ駅に向かう。
「かったりぃ」
足を止めて俯いたまま
地面をぼんやり見つめる。
なんで俺が行かなきゃ
いけねーの？
紹介したがってる本人が
来れないんだから本来なら
中止だろ。
俺は会いたくないんだし⋯
“ ちゃん！頼んだよ！！ ”
大貴の声が再生される。
このまますっぽかしたら
大貴はやっぱ怒るだろうな。
や･･怒るより
行けなかった自分を責めて
悲しむんだろうな。
そう考えると胸がちくんと
痛くなった。
「⋯⋯ぁ」
不意にスマホが音をたてて
メッセージが表示された。
それは大貴の彼女からだった。
【伊野尾さん
今日は宜しくお願いします】
「⋯⋯」
すっかり忘れていたけど
先日、大貴が一応互いに
連絡取れるようにと
LINEを交わす事になり
俺は渋々だったけど彼女と
繋がった。
メッセージを目にして
あぁこれで大貴が来れなく
なった事を伝えて、またの
機会にすればいいじゃん！
そう思って返信すべく
ロックを解除しかけた時
ふと、その思いは浮かんできた。
大貴も俺も連絡つかなくて
待ち合わせに現れた彼女は
どうするんだろう？
LINEは既読する事なく
再び足を進めだした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 19人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
有颯。 - Renoさん» いえいえー！切ない恋小説で読むのは好きです！実際の恋で切ないのはアレですけど…、笑。そういえばRenoさんは誰担ですか？ (2018年5月31日 16時) (
レス) id: 9a32e8bfe2 (このIDを非表示/違反報告)
Reno(プロフ) - 有颯さんありがとうございます(^^)せつない物語好きなんですね！お仲間嬉しい。読んで頂いて更に嬉しいですし…遅筆ですがこれからも遊びに来てください！ (2018年5月28日 22時) (レス) id: 98cec57b4e (このIDを非表示/違反報告)
有颯。 - 楽しく読ませていただいています！私も切ない恋物語大好きなんですよ〜！！更新頑張ってくださいね！応援してます！ (2018年5月28日 5時) (レス) id: 9a32e8bfe2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Reno | 作成日時：2018年4月14日 4時
