続き ページ11
「改めて、久しぶり、無一郎。また会えて良かった。」
「…うん、僕もAが生き返ってくれて嬉しい。」
未練のくだりは一切無一郎に話していない。
だって、断れなくしてしまいそうだったから。
確か目が覚めてから日没までがチャンスのはずだから
今の時間は…と、時計を見て、息を飲んだ。
日が沈むまでもうすぐの時間帯だったから。
「…ねえ、無一郎。
私、無一郎に伝えなきゃいけないことがあるの。」
返事は、なるべく今すぐにしてほしい、
と前置きして言葉を紡いだ。
「私、無一郎のことがずっと前から好きだった。
…できれば、ずっと一緒にいたいな。」
目をぎゅっと瞑って返事を待つと、
布の繊維に身体を包まれる感覚がした。
「僕も、Aのことが大好き。」
無一郎の長い髪が私の頬を擽る。
それも気にならないくらい私の顔は熱を帯びていた。
願いが叶ったと理解するのに数秒かかった。
「良かった…。」
喜びで視界を滲ませながら
そっと呟き、私も無一郎へ腕を回した。
一世一代の告白から数刻経った後、
私はとあることを思い付いた。
(しのぶさん達にも私が生き返ったこと伝えなきゃ。)
しのぶさん、蝶屋敷…
おかしいな、何か忘れてるような気がする。
胸の中にもやもやしたものが残るが、
首を振って扉に手をかけ、開けようとした。
…開かない。
扉が古びてて開きづらいというわけではないみたい。扉、綺麗だし。
鍵でも掛かってるのかな?
その時だった。
「何してるの?」
不意に、背後から声がした。
一瞬びくついたが、
声の主が無一郎だと気付き、振り向きながら
「扉、開かなくて…」
と言いかけた。
この言葉は最後まで紡がれなかった。
少し前から感じていた違和感の正体が分かったから。
普通、鬼殺隊員が死んだら、まずは蝶屋敷に運ばれてすぐ火葬するはずだ。
薄情だと思うかもしれないけど、
生きてる隊員用にベッドをなるべく多く空ける為には仕方のないこと。
でも私の身体は生身のまま。
最初こそ喜んでいたが、本来ならあり得ない。
数刻前は必死でそんな余裕も無かったが、
考えてみたら色々おかしいことだらけだ。
最初、ここは蝶屋敷かと思っていたが違うみたい。こんな部屋はなかったはず。
かといって私の家でもない。
そもそも
目が覚めた時に好きな人が目の前にいるなんて
都合の良いことある?
妙に見覚えのある部屋をぐるりと見回して、
はっと気が付いた。
ラッキー名言!!
『マヨネーズにマヨネーズは絶対合う』
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ここあ - 不死川さんかっこいいですよね❗私も不死川さん推しです❗ (8月23日 1時) (レス) @page9 id: 27e9334683 (このIDを非表示/違反報告)
不死花(プロフ) - ふわるーさん» ありがとうございます!嬉しいです! (2021年8月3日 4時) (レス) id: a684b5f730 (このIDを非表示/違反報告)
ふわるー - 話がよくできていて、とても面白いです! (2021年7月28日 19時) (レス) id: bb3661b0f9 (このIDを非表示/違反報告)
不死花(プロフ) - L社の職員リスクさん» 返信遅れてごめんなさい。リクは一応募集してないのですが、書けたら書こうと思います。 (2021年3月6日 18時) (レス) id: a684b5f730 (このIDを非表示/違反報告)
L社の職員リスク - リクエストいいですか?アオイをお願いします。 (2021年3月5日 23時) (レス) id: 106a14567d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:不死花 | 作成日時:2020年12月12日 16時