No.135 ページ35
目黒くんが言えないことなら、無理やり聞かない。
言ってもいいかなって思うときが来たら、
きっと言ってくれる。
そう思うけれど――
……同時に、ある考えが首をもたげる。
………それって、本当に信頼してるのかな。
目黒くんは最近心なしか元気がなくて、
なんとなく私は気まずさを感じたままで。
悩むくらいなら聞いてしまいたい、とも思うけど……。
目黒くんは、とても隠すのがうまいと思う。
もし、あの表情を見ていなかったら――
きっと私は目黒くんが元気がないことにも気付けなかっただろう。
そう思うほどに、
目黒くんは“一見”いつも通りに振る舞っている。
……だから、気付けなかったのかな。
目黒くんのお姉さんのこと――。
……気付いてもおかしくないほど目黒くんはそれに
とらわれていたのに。
「……あ、」
近くでそんな声が聞こえた。顔を上げる。
「……木ノ下さん？」
私は顔を上げた先にいた人物に言葉を失う。
――川波、さん……。
「木ノ下さん……だよね？」
川波さんは私に笑いかける。
「……目黒くんは――」
私がちらりと目黒くんの席の方を窺ってそう言うと、
川波さんは首を振って気まずそうに苦笑した。
「……うーんとね。
用があるのは木ノ下さんなんだ」
――私に？
「謝りたい、と思って」
「……謝りたい、って……」
状況が飲み込めない私は川波さんを見つめることしか
できない。
私が戸惑っていることに気付いたのか、
川波さんは怪訝そうに眉を寄せた。
「……目黒くんから、聞いてないの？
――私がしたこと」
一瞬、その声が低くなる。
「……どういう意味……？
川波さんは、……目黒くんと付き合ってたんだよね……？」
それがしたことなんだろうか、と疑問に思う。
「付き合ってたっていっても、名ばかりだったけどね」
さらりと言った川波さんは、私が聞き返す前に続けた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 72人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「目黒蓮」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：いちご | 作成日時：2020年2月15日 18時
