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No.128 ページ28
「……ま、分からないにしてもこのままでいいわけ？」
他人の机に置きっぱなしにしてあったペンを
くるくると回しながら渡辺は言う。
「……このままって？」
「このまま、木ノ下さんと気まずいままって、
目覚め悪いじゃん」
「……」
俺が考え込むと、
渡辺は回していたペンを置いた。
「――つーかさあ。
なんとなく気付いてたとは思うけど、
お前が木ノ下さんを気にしてたのは、
――木ノ下さんがお姉さんに似ていたからだろ？」
俺は、数回まばたきをする。
「……お前、何言ってるんだ？」
「……あれ、まだ気づいてなかったわけ？」
お前が？ と意外そうに渡辺は目を丸くした。
「……意外と、鈍い？」
そう呟いた渡辺をぎろりと睨んだ。
――自分のことには、鈍いのかな――
また、川波さんの声が蘇る。
……何が分かるっていうんだ。
「似てないだろ、どう見ても」
「普段は、な。
でも、――特に傷つくときかな。
お前のお姉さんにすごく似てたよ。
……お前、お姉さんのことを気にしてたから、
木ノ下さんを助けようなんて思ったんだろ。
――傷付けたお姉さんと、木ノ下さんを被らせて」
それに答えない俺に構わず、渡辺は話を続ける。
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作者名：いちご | 作成日時：2020年2月15日 18時
