それでも好きになった。② (ページ19)

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No.69 ページ19

加藤さんが分かりやすく悩んでいる横で、

木ノ下さんは不安げにその顔色を窺っている。

加藤さんが誤解していることは気付いていたから、
話せないのは分かる。

でも、あまりに木ノ下さんが不憫なので見てられなくて立ち上がれば、

――渡辺がそれをとめた。

加藤さんが悩んでいるのは渡辺のせいであるけれど、

……まあ大丈夫だろう。

加藤さんのことだから、

勢い余って告白でもしそうだなと思った。

……木ノ下さんは今度は寂しそうな表情をしている。

少し、心配した。

でも、

……察しがつきそうなものだ。

それとも、俺が鋭すぎるだけなのか。

――蓮が羨ましいな。

私は鈍いから…………。

ふと嫌な記憶を思い出して思わず口調が強くなった。

落ち着こうとうつ伏せる。

――幸せそうだったくせに。

あの時俺も、確かに嬉しかったのに。

恋なんてものに興味はない。

他人の恋なら尚更のことだ。

だから、渡辺と加藤さんの関係なんて全く気にしていなかった。

先が見えているというのもあったのかもしれない。

………でも、

木ノ下さんに関係していることで加藤さんが誤解をしてだから、話せなくて木ノ下さんが不安になる。

……結局は

木ノ下さんのため、かな。