それでも好きになった。② (ページ18)

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No.68 ページ18

……だから、

あんな頼みごとをしようと思ったのかもしれない。

――笑顔を見せてほしい。

見たことがなかったから、

見たいだなんて理由に託つけて、

きっと純粋に木ノ下さんの笑った顔を見たいだけだった。

でも、俺には木ノ下さんがどうしたら笑ってくれるのかなんて分からなくて……

そうこうしているうちに、

親交会で司会なんて面倒くさいものをやらされる羽目になって

……渡辺に先に笑顔を見られた。

――むかつく。

八つ当たりをしてみると、

理不尽な怒りをぶつけられて困って不安げな顔をする木ノ下さんが面白かった。

……笑ってくれないかな。

ふと思って、考え込んでいると、木ノ下さんが少し恥ずかしそうに

「出来る限りの頼みごとならきく」と

……笑った。

柄にもなく、嬉しかった。

思っていたより明るく笑うのか、と思った。

……頼みごとの内容を話したら、

謎が多い行動をする、と膨れっ面で毒づかれた。

……咄嗟に誤魔化したけれど、行動の理由は自分自身謎だ。

……そう、とても自分らしくない。