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No.47 ページ47
「さすがに痛々しいかな。
……目黒くんは恋とかしたことあるの？」
「……ないよ」
「……私ね、松村くんが初恋だったの」
涙が乾いた頬は少し冷たくなっていた。
「……だから、周りが見えなかったのかも。
……恥ずかしいなあ。あんな見る目がない人が初めて好きになった相手だなんて」
「……忘れたい相手なら、数える必要ない。
ただの気の迷いだったんだよ」
どこまでも勇気づけてくれる目黒くんに申し訳なくなった。
大丈夫、と私は笑った。
「恋は、もうしないから平気」
「……でも」
「いいんだ！
別に恋しなくても愛されるという可能性があるかもしれないから！
……おそらくないとは思うけどさ、ま、いいよ」
もう、諦めたから。
「それは、
……嘘だよ」
目黒くんははっきり断言した。
「今の木ノ下さんは恋をしようとしないんじゃない。
……ただ恋に臆病になってるだけだ。
昨日、二人の様子を見たときただ嫉妬しただけ？
……違うよね。自分が持っていないと、思い込んでいる感情を
……もう一度持ちたくなった
でも、……もうあんなことされたくなかった？
あんな風に晒し者になりたくなかった？
……だから、違うと思い込もうとしたんでしょ？」
「……なに言ってるの？」
「図星でしょ」
「する気がないって言わなかった？」
「……心に嘘ついて、自分を誤魔化し続けるのって苦しいよ？」
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作者名：いちご | 作成日時：2020年2月6日 7時
