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No.44 ページ44
湊ちゃんが語った話は次のようなものだった。
湊ちゃんは渡辺くんと仲がよくなり、
そのときは気付かなかったが、好きになっていたらしい。
渡辺くんが親交会の前の日に告白されていたのを見て、ようやく恋を自覚した。
でも、今まで友達だと思っていたこともあって、
どうしていいのか分からず思い悩み、
親交会で私があだ名で呼ばれるのを知り、
……嫉妬してしまったらしい。
そして渡辺くんの好きな人は私だと思い込み――
苦しんでいたときに渡辺くんが心配してくれたので
思わず告白してしまった――
ということらしい。
……聞いてしまえばなんのこともない話だった。
何を悩んでいたのかと自分の悩みの小ささが惨めになる。
「……それはそうと、木ノ下ちゃんって目黒と喧嘩した？」
小さい声で渡辺くんが聞いてくる。
「……うーんと、私が一方的に当たり散らしちゃった
というか……」
目黒くんは喧嘩とも思っていない気が。
「……そうなんだ。だからあいつ、今日機嫌悪いんだなあ」
「……渡辺くんってやけに目黒くんの行動を私と結びつけるよね」
渡辺くんは意外そうな顔をして、にやっと笑う。
「あいつ、結構木ノ下ちゃんに影響受けてると思うよ。
……あいつも自覚してるのかな。
だから俺、応援してるんだよね」
「……何を？」
「……二人が付き合えばいいなあって」
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作者名：いちご | 作成日時：2020年2月6日 7時
