No.24 ページ24
「……彼らは誰がそんなでまかせを言ったのかと先生に聞いた。
もちろん先生は言わなかった。
だけど、
誰かが先生に密告したんだと――
彼らは理解していたと思う。
………私はそこで、
前の生活に戻ることを諦めた。
いじめが激化するのはどう見ても明らかだったから。
ただ、表面上は変わらない生活を送るだけだと言い聞かせ、
……もう私のことは、
放っておいてほしいことを先生に伝えた。
そして、
私は知り合いが誰もいない遠くの高校を受験することを決め、
……無事ここに入学した。
……これが、
私が隠してた全て」
二人の様子を見て、
やっぱり受け入れられないか、と
苦笑する。
「………ごめんね、
こんな話して。
――明日から、
私が嫌なら近付かなくてもいいから。
……じゃあ」
繋いでいた手を、そっと離す。
そして実験室の扉に手をかけた。
そのとき、目黒くんは言った。
「――何してるの、木ノ下さん。
座りなよ」
私はその意味が分からなくて
戸惑う。
「……目黒くん、
私の話聞いたよね？
なんで声かけれるの？」
「……いじめが
なんだっていうわけ？」
その言葉に、私は怒りが
込み上がってきた。
「――言ったよね!?
私は一年間、
ずっといじめられてたんだよ？
ずっとクラスの笑い者だったんだよ？
目黒くんは、そんな人と仲良くできるの？
もし中学の知り合いに会ったら、
いじめられてた奴と仲いいのかって……
ずっと後ろ指さされるんだよ!?」
大声で叫んだ。
……湊ちゃんは、
ずっと泣いているようだった。
「――それが、なに？」
目黒くんは、冷めた声で言った。
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作者名：いちご | 作成日時：2020年2月6日 7時
