No.17 ページ17
「……話がある、で
いいんだよね」
湊ちゃんに、こんな深刻な話を持ち出したことはなくて、どうしていいか戸惑う。
…………でも、まだ不安も消えてはいない。
――大事であることを強く気付いてしまったことは
さらに失うことを怖くさせた。
「――だけど私は、
湊ちゃんと本当の意味で
友達になりたい……」
だから、決心した。
ふと気付く。
ああ、これは……
目黒くんが言った言葉と
ほとんど同じだ。
「………よし」
手紙を取り出して、
私は書き始めた。
――目黒くん、
部活が終わったあと
実験室に来てほしい。
伝えたいことがあるの。
私が言いたくないこと、
――二人に話すよ。
内容を読み返して、
封筒に入れる。
不安と期待が混ざり合ったまま、
学校へと向かった。
湊ちゃんは私が話がある、と
言うと、一瞬驚いた顔をして
すぐに笑顔を見せた。
「私も話したいことあったんだ」
そう言って――
聞き出すようなことは
しなかった。
………目黒くんは手紙に
気付いただろうか。
ちらりと目を向ければ
視線がぶつかる。
頑張って、と口パクで言われ、
強く頷いた。
――放課後のことが
気がかりで、全然
授業に集中できなかった。
自分を叱咤する。
気付けば授業は全て終了し、
湊ちゃんが私の前に
立っている。
「……ここじゃなんだし、
実験室行こう？」
それに湊ちゃんは頷く。
…………なんだか私は沈黙が息苦しくて、
湊ちゃんもいつもと違って、
―――どうしていいか
分からなかった。
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作者名：いちご | 作成日時：2020年2月6日 7時
