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No.13 ページ13
強い雨が降っている。
気温も急に寒くなった。
「……寒いね、湊ちゃん」
湊ちゃんと私は
席に座って、体を小さくしている。
「そうだね。
暖房つけてくれればいいのに」
「先生もけちくさいよね」
――やっぱり、そんなことない。
気を使ってるように見えるなんて
どう考えても、
目黒くんの気のせいだ。
「………そういえば
実験室のこと聞いてきたけど、
なんだったの？」
湊ちゃんは顔を持参した毛布にうずめたまま聞いた。
「え？ あー、えっと、
気になったからかな。
前々から興味あったの」
下手な言い訳を繕う私に、
湊ちゃんは
怪訝そうな視線を向けた。
「……興味あったの？
知らなかったなあ………。
言ってくれたら、
もっと早く、教えたのに」
それは呟くような声で、
私は聞き取ることができず、聞き返した。
「今、なんて言ったの？」
その言葉に、湊ちゃんは笑う。
「………Aはさ、
あんまり私に話してくれないよね、
いろんなこと」
そのときは笑顔だったけど、
どこか寂しそうに見えた。
―――それは私が、
気を使ってるってことなのかな。
………湊ちゃんは私が
男子が嫌なことに気付いていたようだった。
…………でも、
それでも私は、
湊ちゃんに話せない。
もちろん、目黒くんにさえも。
それは………
おそらく私がこの人たちを
信じてしまったからこそ、
よけいに強く思うことだ。
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作者名：いちご | 作成日時：2020年2月6日 7時
