No.11 ページ11
――あの嵐のような目黒くんの
手助けは、私の
あの頃からできてしまった男子の
固定概念に大きな影響を
もたらしたように思う。
「木ノ下さん――
俺と友達になろう」
と放課後に再度言ってきた。
目黒くんは本気だったのかと驚いた。
もう目は合わせられるという
目黒くんの言葉通りかは
分からないけど、
私は目黒くんがそんな悪い人ではないのだと知って、
ちゃんと目を見られるようになった。
……きっと彼は、あの男子たちのように私を見たりはしないから。
そんなことしないと、信じられる人だから。
――そう考えると、
やっぱり目黒くんのお陰であることは否定できない。
そう思ったから、
――私は彼の返事に頷いた。
私の了承に、嬉しそうに笑う。
目黒くんは、すごく優しい人だと思う。
でも、目黒くん直ぐに笑顔をやめて、
真剣な表情をした。
「で、次の問題は、木ノ下さんが
素で話してるかってことなんだ」
不思議そうな顔をしたことに気付いたのか、
目黒くんは分かってないね、と言って
不満げな顔をする。
「俺が言いたいのはさ、
木ノ下さんが他の人に
気を使いすぎてるんじゃないか
ってこと」
「……気を使いすぎてる?
私はそんなこと――」
言いかけた私の言葉を目黒くんは
遮った。
「ないって、本当に言える?
少なくとも、俺には加藤さんと話すときでも、
遠慮してるように見える」
――目を合わせられるようになってから、
気付いたことがある。
目黒くんの目は
いつもまっすぐに
人を見つめていること。
それが私には強すぎて、
少し目を逸らしたくなるときがある。
「………そんなこと、ないよ。
少なくとも湊ちゃんには――
遠慮なんてしてない」
「――そう?
じゃあ俺の思い違いか」
そう言って
私の机の横にかけてあった鞄を
取って、私に手渡す。
「今日はもういいや。
帰ろっか、木ノ下さん」
「――うん」
手を引かれ、
横に立つよう促される。
――今度は、素直に
目黒くんの横に並んだ。
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作者名:いちご | 作成日時:2020年2月6日 7時